三叉神経の帯状疱疹

仕事

80代男性。右目がピリピリしたので眼科医を受診するが「これは皮膚科」と言われ土曜日だったのでその足で皮膚科に行き三叉神経第1枝帯状疱疹と診断。でアシクロビル(ビクロックス®)が処方されました。

説明不足か勘違いか痛みが全く引かないからとすぐ服用を中止してしまいました。抗ウィルス薬はヘルペスウィルスの増殖を抑える薬なので痛みについては無関係です。これが後々に響いたかは微妙なところです。休日をはさみ総合病院へ、即入院となりました。

入院中にファムシクロビル(ファムビル®)をきっちり1週間、トラマドール+アセトアミノフェン(トラムセット®)、プレガバリン(リリカ®)の疼痛鉄板コンビに眼窩上神経ブロック(マーカイン注®)数回施行しましたが軽減が得られず、結局12日間の入院。

退院から15日後、同様の薬の処方、週一回の眼窩上神経ブロックでしたが患部の痛みが辛くて来院。眼瞼も下がって右目はふさがり散歩も不自由とのこと。側頭部から第一枝領域全体に黒くかさぶたという状態でした。

経過を説明中に熱を帯びてしまったせいか「あ、また痛くなってきた」という事で問診を切り上げ治療を始めました。腹臥位でしたが鼻汁が出ても感覚がない状態でした。

本人は痛みがずっと続くこと=PHN(post-herpetic neuralgia=帯状疱疹後神経痛)を心配していましたが、以前見た論文のPHNの発症が80代になると60代の三分の一、70代の四分の一と急激に低くなるというデータ(80代の発症件数がそもそも少ないからなのかあいまいな記憶でしたが・・)の記憶を引っ張り出して元気付けました。

鉄板コンビと鍼灸治療のコンポジットで痛みも漸減。週一回の治療で折り合いがつけられるのもプレガバリンのおかげかと感謝しつつ、感覚もかなり改善し正常になりつつありますが過去の経験から言って若干の違和感は残るでしょうと説明しています。

神経疼痛はお医者さん的にはブロック注射を含め薬物治療しかありませんが、ぜひ「鍼灸治療」との併用を頭の片隅に記憶しておいていただきたいと思います。

プレガバリンは末梢性神経障害疼痛、ことにPHNには各国のガイドラインでも第一選択薬ですが、抑制性神経伝達物質(GABA)の誘導体である為に痛みそのものだけに働きかける薬です。

それはそれで痛みを抑えつつ急性期以降は震源地(この場合は三叉神経第一枝)と身体全体を治療する鍼灸治療との併用がベストではないでしょうか(浮遊感や眠気を可能な限り回避するためにも)。

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