膝の手術と痛み止め その1

医療トピック

整形外科の手術適応患者さんと鍼灸院に来る整形外科領域の患者さんは重なることが多くそれは膝関節に関しても顕著であると言えます。

概ね、初期症状である動き始めの痛み→階段痛→長時間歩行痛→関節水症→可動域制限(正座不可など)→杖歩行→O脚変形という感じで症状が進行します。

整形外科ではレントゲン撮影でグレード0(正常)から骨棘あり~関節裂隙狭小化を経てグレード4(高度裂隙狭小化、高度軟骨下骨硬化)の5段階に分けられています。(ケルグレンローレンス分類)

鍼灸院ではもちろんレントゲンは撮影できませんが問診と触診で大体の治療方針、見通しを立てることが出来ます。ただ例外として60歳以上の女性で夜間痛、膝窩部痛がある方は(大腿骨内顆)骨壊死症の疑いを否定するためにMRIのある整形の受診を勧めています。

しかし99%の患者さんには鍼灸治療に加えうんざりされますが自助努力(筋トレ、ストレッチ、ウォーキングなど)を力説しています。このカップリングが最強だと考えています。具体的には関節周りの炎症の回避と関節環境の改善、そして大きいのは膝を支える筋肉の手入れ、強化です。

筋トレ等を嫌がる患者さんはしばしばサプリメントに依存しがちですが、患者さんから効果があったという話を聞いたことがありませんし、エビデンスもありません。

「ボケない鍼ありませんか」とか「骨密度が心配で」等々よく言われるのですが、頭も骨も筋肉も関節も可能な限り適度に使うことによって維持していくことが自然で確実だと思います。

積極的に膝関節手術をしている病院などはグレード3(関節裂隙狭小化中程度)でも手術を勧める場合もあるので手術を望まない患者さんが「何とかならないか」と来られる場合もあります。

その中には「この程度で手術を勧めるのか」と驚くこともあります。そういう膝関節はそれほど変形も間接裂隙の狭小も来たしていないので、注意して痛みを出さないよう生活できる段階まで効果を出すことが出来ます。

しかし一方で鍼灸治療ではもはやコントロールできないレベルの痛みや変形が進みすぎてドロップアウト、もしくは手術を選択した症例も勿論あります。

進みすぎてしまった印象に残る症例は次回に書きます。(続く)

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