心拍数が少ない人は優れたアスリートに多いというイメージがあります。
マラソンランナーは安静時の心拍数が30から40台ぐらいなので負荷をかけても息が上がらずよりパフォーマンスが高くなるのではと考えられているようです。
そういった素地の上に更に長距離選手や自転車のロードレーサーなどは高い心拍数で練習するので心臓自体もそれに反応して肥大します。
つまり一回の拍動でより多くの血液を送り出すことができる、いわゆるスポーツ心臓になってより高い能力を獲得すると考えられています。
スポーツの世界ではそんな圧倒的に優位性があるような低い心拍数も犯罪心理学者のあいだでは逆で反社会的な人間は心拍数が低いと考えられていたようです。
これは人間以外の動物でも同様でサルからマウスまで「攻撃的な個体は従属的な個体よりも安静時心拍数が下がる」ということのようです。
人間でもこれに関する研究はあって性差による心拍数の差(6.1回/分)も男女の犯罪数の差に関連しているという研究者もいるようです。
何故低いと攻撃的になるかという疑問に対する説明としては「人には最適な心拍数のレベルがある」という説明です。
元々心拍数が生得的に低いと、何らかの不快感を抱えていてそれを無意識に引き上げようとする、つまり犯罪へのリスクが伴うのでドキドキするのですがこの心拍数の上昇がいわば「快感」になるという説です。
この検証として島国モーリシャスの3歳の1795人の心拍数と刺激追及度(母親とおもちゃのどちらを求めるか)が調べられその20年以上の経過も観察されました。
その結果心拍数が低く刺激追及度が高かった子供(上位15%)はその7年後の11歳でも「人を殴る」「けんかをする」など攻撃性が高かったということです。
しかし同様に心拍数が低く刺激追及度が高かった女の子は「チャレンジしよう、世界に出ていこう」とその後ミスモーリシャスにまでなったりしたとのことです。
ここからわかるのは、低い心拍数の人間は皆が非行に走るということではなく、心拍数の低い外向型は「リスク志向」で心拍数の高い内向型は「リスク回避型」だということです。
リスクを好むパーソナリティは良い方向に転ぶと起業や成功に結びつきますが、悪い方に転ぶと犯罪者になってしまうかもしれないということです。
外交的か内向的かでいうと外交的の方が良いと一般的に考えられるかもしれませんが、こうして考えると内向的である方が着実で安定した人生を歩むのかもしれません。
楽観的か悲観的かに関してもアリとキリギリスではありませんが、より不幸なシュミレーションを想定して将来への対策を立てるという意味で堅実な人生設計をする父親やリスクを高めに考えて早めの対策を打ち出し確実な道を行く経営者など成功するのは悲観論者の方ではないかと個人的には思うのです。
パーソナリティはそう簡単に変わるものではありません。そうであればより自分のパーソナリティに合った仕事、生き方を見つけることが人生をよりよく過ごす大きな鍵になると言えるのではないでしょうか。
参考:『スピリチュアル「わたし」の謎』 橘玲著 幻冬舎
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