酒は百薬の長などと言われますが現在では少量のお酒(アルコール)でも体によくないというエビデンスが出てきています。つまり身も蓋もなくいうと一滴でも飲まない方が健康にはいいということです。
飲酒はキモチは良くなりますがそれは薬物の効果であり、身体には毒であると。そりゃ薬物(毒物)が身体に入るわけですから量にもよりますが長期的にはあちこちに負荷がかかります。
突き詰めて言えば薬物としてのアルコールの身体への負担(デメリット)と精神的弛緩(メリット)の天秤なのですが、飲まないで済むなら飲まないでいいに決まっています。
薬物を使わずに精神的弛緩が得られるのならトレードオフでもたらされる高い代償も支払う必要がありません。当然ですが依存症の心配もありません。
ちなみに僕は40年近く、ほとんど毎日のようにお酒を飲んでいました。いや、毎日飲んでいたかどうかすら記憶にありません。あまりにも日常過ぎて。
ここ何年かは、WHOの言うところの一日2ドリンクから4ドリンクあたりでしょうか。1ドリンクでアルコール10gです。5%のビールだと500mlで20gのアルコールつまり2ドリンクということになります(500×0.05×0.8)。9%のストロング酎ハイなら350mlでもはや25.2gで2.5ドリンクです。
これが飲んでも1ドリンク(10g)、何なら飲まない方がいいらしいのですがいや、それは辛すぎるとずっと思っていました。飲まないなんて有り得ないと。
きっかけは患者さんとの断酒の話からです。頻発する痛風発作に苦しむ50歳代男性。住宅設備の仕事の為、膝や足首、拇趾に痛みを抱えていては仕事になりません。
高尿酸血症は30歳代からなのですがお酒がやめられませんでした、というよりかかりつけでずっと痛風の薬を処方されていたのでアルコールどころかビールすら控えることもなかったのです。痛風発作も痛風歴20年で初めてでしかも歩けないほどの痛みが間歇的に数か月間、膝と足関節と拇趾で痛みがあちこちで再発するのです。
治療開始時にこれはアルコール全般が原因であるということを忠告し、本人もノンアルコールビールに替えて頑張っていました。なかなか治まらない痛みでしたが禁酒を続けさえすればいい方向に向かうことが判っていたので「一緒に禁酒しましょうか」と提案しました。
僕も晩酌というか食事の前後に飲酒していましたがほとんど惰性で飲んでいました。しかしながら歳のせいなのか酔うことによって読書量や物を書いたりする集中力の低下が顕著になり作業効率が落ちていたのです。
アルコールの量を減らせばいいのかもしれませんがそんなことを気にするくらいだったらいっそのこと止めてしまおうと。最初は仲間との飲み会は例外としてなどと思っていましたが、この時世でそんな機会もなくなりやめる環境も整ってしまいました。
辛かったのは、箱買いのストロングチューハイが無くなった6月下旬から止めたので夏の暑い盛りにビールや缶チューハイが飲みたくなってしまったことでした。そこはもう炭酸水でシュワッと早めにのどの渇きを潤してしまう事で対処しました。
それを繰り返しているうちに夕方以降(ののどの渇き)=ビール、チューハイという連想から離脱できました。習慣というのは恐ろしいものです。逆にいちばんグビッとやりたい時期から始めたので秋になったらもう何とも思わなくなってしまいました。
これがサラリーマンにありがちなストレスフルな仕事や生活だったりコーピング(リラックスできる事、楽しい事)がない生活だったとすればそれはまた別だったかもしれません。
しかし自分が好きで始めてやっている仕事ですし、イライラも自分の責任だと考えているのでストレスフリーなのは幸いでした。そもそものどの渇きさえ癒されればそれで良かったのです。
一日じゅう素面でも何の支障もないどころか、夜に書き物をしたり寝落ちするまで読書したい僕としては好都合でした。
もう40年近くも飲んできたわけですから一体いくらぐらい使ったんでしょうか。怖すぎます。もちろん仕事終わりの美味しいビールがコーピングの一つだという数多くの方はそれでいいと思います。僕もつい数年前まではず~っとそれだったのですから。
そしてタイトルの回収ですが、患者さんからわざわざ頂く差し入れ、お土産はセーフということにしています。
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