歯が立たなかった腰痛の一例 その2

鍼灸治療

前回のハイドロキシアパタイト(かCPC顆粒=リン酸カルシウム)を充填する二度目の腰の手術から1年3か月経過後には再び痛みの為に座ることができなくなり、座薬も効かなくなって入院、究極の腰椎手術、腰椎固定術を決意。そしてひと月半後に退院。

粒々を除去してチタンで固定したとのこと。痛みは軽減しましたが、例によって痺れはひどくリマプロストアルファデクス(製品名オパルモン)他が処方されていました。

脊柱をロッドとスクリューで固定している所に鍼も灸もあったものではありません。しかし退院の次の週には治療の依頼があったので患部には手を触れず(めまいと膝の痛みをよく訴えていました)全身を治療しました。

再々手術から1年3か月間、途中リウマチのせいか手掌痛で屈筋腱の手術で入院の為、治療をひと月(2回)休みましたが、何とか自宅で生活し、私も治療に通いました。しかし、また次第に腰痛、下肢痛が強くなりだし最後の鍼灸治療から1週間後の定期検査のついでに入院し、自宅に戻ることはありませんでした。

結局3年半に渡る治療でしたが既往症で身体がダメージを受けていたこともあり、強い薬でもコントロールできない痛みの為お手上げ状態の時も少なからずあって、患者さんの力になれたとはとても言えませんでした。患者さんとしても選択肢が他に無かったというのが本当のところだと思います。

ハッピーエンドじゃない症例で申し訳なかったですが、頚椎症の時も書きましたが手術後に僕が絡んでいるという時点で患者さん側は手術結果に満足していないという事ですし、こういう歯が立たないけれども依頼を受けるという症例もある程度存在するのだという事です・・・。幸せな結末は医療番組や広告でご覧ください。

手術にしても「最新の治療」というとテレビなどでは制作の性質上、成功例のみもしくは手術後の長期効果など観察なしに放送されるのが普通です。また、「最新」はそれだけ進化している証左でもあり、且つ次の年にはまた最新の治療がでてきて陳腐化してしまうというのも「最新」の宿命でもあります。

ちなみに現在は骨粗しょう症の圧迫骨折に関してはBKP(バルーン・カイフォプラスティ)=バルーン椎体形成術もしくは経皮的後弯矯正(前かがみを治す)術という手術が保険適用になっています。1割負担で3万~12万(この場合は7日入院でした)といった感じです。

この手術にしても骨セメントが固まる前に脊柱後壁(脊柱管側)に漏れて脊髄を圧迫してしまったり、潰れた椎骨が骨セメント注入で強度を増すことにより隣接椎骨が圧迫骨折を起こしやすくなるといった有害事象が報告されていましたし、より改良された骨セメントや新しい素材と一緒に骨セメントを埋め込むといった手術法が発表されたりして改良、進化しています。

健康全般そうなのですが、予防に勝る対策はありません。大ごとになる前に手を打つことです。骨粗しょう症予防に勝るものはありません。体を動かす事に勝る薬はありません。でも骨粗しょう症になってしまいます。なってしまったら継続的な運動と治療が不可欠です。

お医者さん的には半年に1回の注射のデノスマブ(製品名プラリア)やビスホスホネート系薬剤(月1回、週1回服用など)、副甲状腺ホルモンのテリパラチド(商品名フォルテオ・・・毎日自己注射、テリボン・・・週1注射)が私が知る患者さんの中では「最新」ということになるでしょうか。

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