歯が立たなかった腰痛の一例 その1 

鍼灸治療

10年以上前にひどい腰痛の患者さん(74歳女性)の治療を頼まれたことがありました。休日に出張治療していた国分寺市のケアマネジャーさんから、苦しむ自分の担当する利用者さんをどうにかならないかと紹介されたのです。

片道一時間半の多摩地区なので月2回の治療がやっとでした。リウマチの既往もあり当時もメトトレキサート(製品名リウマトレックス)、プレドニゾロンも服用していました。

すでにその一年半前に脊柱管狭窄症の手術をしていて、「やったけどあまり変わらない、特に痺れに関しては変わらなかった」と訴えていました。これは手術後の患者さんがよく訴える不満で、痺れに関しては経過期間が長いほど感覚神経は不可逆的な変性をするようで成績は良くありません。

月2回の鍼灸治療を始めて半年間(手術後2年)はまあまあだったのですが、また腰痛が強くなりだしリハビリ病院に3週間入院しましたが症状は却って悪化して帰宅。座っているのも辛いということでその月末に手術。「米粒みたいのを詰めた」との事。

「横に5ミリ裂けていた」とのことで骨粗鬆症による破裂骨折だったかと思われ、米粒とはこの時期行われていたハイドロキシアパタイト(HA)による椎体形成術と思われます。術後3日後にその部分の痛みは消失したそうですが、1か月半経過後には「また以前の腰痛に戻った」と治療を依頼されました。

2か月半ぶりに行った時にはMSコンチンを処方されていました。末期がんの患者さん以外で初めて処方されているのを経験しました。しかしこの薬を4週間続けたところで下血をしてまた2週間入院、1000cc輸血、3キロやせて(34Kg)戻ってきました。

半年後、椎体形成の手術から1年経って写真を撮ったところ「粒が散らばっているが問題ない」と言われたと。他の医療機関の2006年の5㎜のHAブロック充填の論文でも「逸脱したが問題は認められなかった」とありますが現在は行われていません。

ボルタレン錠と湿布(2袋/日)で何とか折り合いがついていると思いましたがそれも長くは続かず、半年後(下血入院から1年後)トイレ移動が出来なくなりオムツになっていました。座るのもダメ、ボルタレン座薬の効果も短くなり前の手術から1年5か月でまた手術を受けます。

(続く)

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