卵子は新しく作られない

医療トピックス

10代20代の女性も何人か治療に来ていますが問診時必ず月経の状態を尋ねます。それは体調を確認するということでもありますが、特に東洋医学において女性にとっては月経の状態は体調を知るうえで大変重要なことなのです。

月経関連痛で苦しんでいる女性は若いが故に周りに言い辛かったり我慢するか、仕事があるために市販の痛み止めで回避している人が多いのですがその場しのぎの対応の繰り返しは体質改善につながらないばかりか更に月経困難症や内膜症など後の不妊症を招く原因にもなります。

精子と卵子の成り立ちに関しての決定的な大きな違いは精子は次から次へと作られていきますが、卵子は新しく作られないということです。

『お腹の中にいる頃は、二百~四百万ぐらい、思春期にはすでに二十~三十万個ほどに減っている。排卵があって一個ずつ減っていくイメージがあるかもしれませんけど、実際はいくつも成熟して閉鎖卵胞になっていくので、どんどん減っていく。ひと月に千個ずつ減る。それで閉経がくる。』( 「胎児のはなし」 増崎英明 著 ミシマ社)

つまり母親のお腹の中にいる間に作られた卵子(原始卵胞)は女性が生まれて第二次性徴期以降に排卵される(初潮)その時まで卵巣にストックされていて、つまり三十歳となった女性が排卵する卵子の年齢は三十歳プラス数十週ということです。

排卵時の女性の年齢上がるほど、受精に使われる卵子は高齢になっているのです。

長い間体内に存在している卵子はどうしてもその機能に異常が生じやすくなります。つまり老化するということです。

約35年以上も卵巣にあった卵子では減数分裂の時に染色体が均等に分配されにくくなってしまう、染色体不分離というのですができた卵子で染色体数の過不足が起こるのです。

このような事情を知ると子供を望む女性は仕事を後回しにしてもと思うのではないでしょうか。また、現在の出産医療では受精卵の凍結保存で二人目、三人目という選択肢もあります。

パートナーのいない女性は卵の凍結保存という方法もあります。若いうちに出産、婦人科に関心、知識があれば不妊の兆候があれば対策も早く打てます。

不妊症治療の補助金が出る自治体や企業も増えてきましたがそれでもかなりの経済的負担があります。実際、結果が判らないまま鍼灸治療からフェイドアウトしていく患者さんも少なからずおられます。

いい結果が出てそうなっていることを祈っていますが現実はそんなに甘くはないことも理解しています。

【二人目の壁】でも書きましたが、それぞれの夫婦にそれぞれ唯一無二の家族の形、夫婦の形があります。それは幸せの形、考え方と同様に人と比較できませんし比較するべきものでもありません。

人それぞれ、二人それぞれでいいのです。それぞれしかないのですから。よく話し合ってお互いを思いやりつつ悔いのない日々を過ごしていただきたいと思います。

参考:「妊娠入門」 放生 勲 著 幻冬舎

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