痩せるか太るかは腸内細菌で決まる

医療トピックス

以前、英国で帝王切開児に母親が膣液を塗布するのを要求するのが流行しているという記事がメディカル・トリビューンにありました。
出産直後に綿棒なんかで口に、ということらしいです。

元来子宮内は無菌で産道通過時に経口により初めて膨大な細菌にさらされ徐々に免疫を獲得していきます。
それにより腸内でも幼児期までにだいたい安定した腸内細菌が定着するとされています。
確かに新生児の便は全然臭くないです。

赤ちゃんの腸内細菌叢は母親の腸内細菌叢に類似しているという報告もあり
帝王切開と経膣分娩を比較すると肥満や喘息、アレルギーが前者に多いという調査結果もあったりします。

肥満の白人の子供と痩せているアフリカ人の子どもの腸内細菌叢の構成を比べると全く違うということです。

炎症性腸炎に腸内細菌叢を整える目的で健康人の糞便移植が効果があるとの論文もあり
(クローン病では腸内細菌の多様性が低下している為その偏りを改善する)、
Ⅱ型糖尿病にも糞便移植が効果ありとの報告があります。

その糖尿病対策で血糖値を上げないために人工甘味料で安心かと多用していると
腸内細菌叢が変化して耐糖能異常が発現するというマウスの実験もありました。
人工甘味料入りの缶チューハイも(個人的には人工甘味料特有の不味さで飲む気がしませんが)長期的には今後どうなるか。

帝王切開児に話を戻して、報告では無害であれば問題ないがまだエビデンスがないから勧めませんということです。

臨床試験(腸内細菌叢の変化の検討が目的)では膣内に潜在的な病原体を保有する女性を除外しているから安全だが
もし母親がB群連鎖球菌、単純ヘルペスウィルス、クラミジア、淋菌など無症状で保有している場合は新生児敗血症や新生児眼炎の原因になると指摘しています。

リスクがある膣液塗布よりも母乳哺育の促進や不要な抗菌薬投与を避けることの方が重要だろうという結論です。


出産を控えた女性はもちろんですが
年齢を経てからも腸内細菌叢(=草むら)、腸内フローラ(=お花畑)を丁寧に手入れしたいものです。

《参考》
「腸の力であなたは変わる」デイヴィッド・パールマター 三笠書房            「最強の食事」デイヴ・アスプリー ダイヤモンド社

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