高給取りほどAIに代わられる

仕事

AIにとって代わられて将来無くなるであろうという職業がよく話題になりますが、医者ですら例外ではないとブロガーのちきりんが書いています。(「自分の時間を取り戻そう」 ダイヤモンド社)
 

症状とバイタル、血液検査のデータを入力すると膨大な論文を読み込んだAIがそのデータから導き出される病名(何人もの医者にかかっても見つけられなかった正解)を見つけ出した、つまり人間の判断より優っているということらしいです。

将棋の最善手のようなものでしょうか。実際、将棋や囲碁はもはやAIの方が優っています。そういったデータに基づく判断はコンピュータの得意とするところだから当然といえば当然です。

将棋のネット中継を見ている方もそれを解説しているプロ棋士の方もコンピュータが瞬時に提示する最善手を見ながら数値化された優劣を見られる状態です。しかし将棋が無くならないのは、機械ではなくて生身の人間がお互い考えているから面白いのです。とは言え医療の領域(診断、処置)ではそんなことは関係なく結果が全てです。

『病気の診断に必要とされる専門知識とパターン認識スキルも、これまではコンピュータの能力を超えていた。しかし、チェス盤の後半(コンピュータの処理能力が劇的に向上する時代)に移行すれば、状況は変わってくる。よく知られているように、IBMのスーパーコンピュータ「ワトソン」は癌の診断を始めている。(略)高スキルの労働者も、テクノロジーに補完されるのではなく、代替されはじめるのだ。』

『これはむしろ診断に人工知能の力を借りられるようになり、医療従事者に求められるスキルの中身が変わると見た方がいい。情報を取り出すスキルではなく高度な直観的判断、対人関係、チームのモチベーションの向上、そして意思決定に関するスキルが重要になるのだ』(以上「100年時代の人生戦略」 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著 東洋経済新報社)

それこそデータの判断に関しては人間の優位性はなくなってしまいます。そこから人工知能では決して出せない対人関係、患者さん毎のそれぞれの臨機応変な対応や専門性を持った手技などが必要になってくる流れになるということだと思います。

結局、どんな職種においても並みの知識、技術で独自性がなければ残っていく確証は得られない、厳しい場合は淘汰されていくということになるのかもしれません。

永江一石氏もブログ(More Access! More Fun!)でAIは高度な分野こそとって代わられると述べています。実際、人工関節置換術はナビゲーションシステムによって最適の固定位置をコンピュータが教えてくれているし、繊細な術野での生理的な微妙な手の震えもコンピュータが補正してくれます。

さらに氏は薬剤師の仕事の多くもAIに代替するのが可能なのではないかと述べています。確かに、門前薬局の薬剤師の多さは機械や非薬剤師に置き換えられる可能性の高さを示唆しているのではないかと思わせます。財務省(財政審)や中医協もチェーン、門前薬局の利益の高さにチェックを入れていましたし。ジェネリック推しの次は調剤手数料かと。

知り合いの薬剤師は、「子育てしながら時間の融通も効くし、給料も高いのでやりがいは感じないが有り難い」としみじみと言っていましたが・・・。

トヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい」と言ったり、サントリーの新浪社長が45歳定年を提案して物議を醸していましたが、これも元はといえば日本の終身雇用制度、年功序列制度の弊害であり、会社としてはただ単にパフォーマンスに応じた給料を支払いたいと言っているだけなのです。

給料の後払いである退職金制度など無くして欧米企業のように若いうちからパフォーマンスに応じた給料を払うべき時に来ているのではないかと思います。給料を下げられても利益貢献度も下がっているのだから当然なのです。

僕ももう体力的に40歳代の全盛期の7~8掛けの売り上げしか出せません。でもしょうがありません、それが歳を取るということです。自分で、または個人で事業をやっている者にとっては明日をも知れぬ非正規雇用以下の保証です、がそれは自分で選んだこと。

他人では出せない治療効果、AIには出来ない治療(手技)で明日も患者さんに求められる存在でいるべく精進していくしか生き残れる道はないのです。

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