立ち上がる時、動き始めの腰痛を訴える75歳女性。近場の整形でのレントゲン撮影からの総合病院でMRI撮影により脊柱管狭窄症と診断されていました。
当初は月2回の来院でしたが突然半年近く間が空いて再来院したのでその間どうだったのか尋ねたところ話始めました。
自身はよろけて手をついた時に右手首を骨折し入院、その少し前にご主人も前立腺肥大症の手術をしていて大変だったとのことでした。
「今年はほんとに最悪の年です」と嘆きます。「友達に話したら『厄除けしたほうがいいんじゃない』と言われた」とのこと。
いかにもお守り、占いやスピリチュアル系が好きな女性特有の発想だと感じました。
私が当事者だったら夫婦同時期の災難は当然大変だったでしょうが、折れたのが手首でラッキーと考えたでしょう。
実際、3年前に訪問治療でロードバイクで移動中に近道で通った荒川土手の下りで草場の大きな置石が全く見えず大きく跳ばされて、肩から落ちて鎖骨と肋骨3本を折りました。
しかし、動かない身体で痛みに耐えつつ病院のベッドで思ったのは「頭や頸椎じゃなくて良かった」ということでした。
ヘルメットを被ってはいましたが運が悪ければどんな後遺症が残っても不思議ではありませんでした。
もちろん怪我がなければハッピーですが、鎖骨と肋骨3本でラッキーだと思いました。
ですからこの患者さん夫婦も手首のプレート固定手術と前立腺肥大症の手術でラッキーなのです。
だから厄除けに行くどころかこの二人に起こったイベントをもっとひどい怪我や面倒な疾患ではなくて良かったねと、厄除けになったねと考えるべきですよと言いました。
でも手術後4か月経って「リハビリを週に二回行っているけど痛みが取れない」ので「鍼灸で何とかならないか」と訴えます。
それには、今は腰や背中の調子を改善することを主において2か月後に予定されている抜釘(固定金具を抜く手術)が終わってから対応すると回答しました。
怪我をしたら治っても様々な不具合が残ることが多々あります。むしろそれは当たり前。それは年齢を重ねればその確率も高まるでしょう。
ご主人にしても術後、尿漏れがひどく尿取りパッドを着けて生活しているようです。でも、おしっこが出せればいいのです。細かい神経が絡んでいるので完璧に良くなるなどとは思わないほうがいいのです。
テレビや新聞で頻繁に広告が出る(つまり広告費以上の収益が上がる)ほど、中高齢になればそれこそ男女誰でも尿漏れは当たり前にある、そして多くの人が満足していないというのが現実でしょう。
先日は、そのご主人は10歳年上の85歳なのだそうですが、「今まで乗っていた自転車にあまり乗らなくなったので足腰がダメになると無理に自転車を勧めていたら転んで血を流して帰ってきたから怒ったのよ」と。
無茶苦茶です。土手の深い草むらをロードバイクで突っ切ろうとする私がとても言えた義理ではありませんがそれ以上に無謀です。
『そこは怒るんじゃなくて「頭や股関節じゃなくて良かったね、無茶を言ってゴメンなさいね」と抱きしめるところですよ』と言いました。
この出来事は誰も「厄除け対象」だとは思わないでしょう。やはり体力(筋力、平衡感覚、反射能力)の衰えたご主人に対する無理な提案が原因であり予想しうる結果です。ご主人が従順すぎなのは置いておいて。
何か物事が起きると偶然の出来事ということがありますが偶然などということは無いと思ったほうがその時にうろたえないのかもしれません。
そう考えると全てとは言いませんが大体の多くの災難は避けることができる、そして生老病死の様に絶対に避けられないものは受容して自分が考える最善を尽くし今日という1日を生きる、ここに帰着するのだと思います。



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