糖尿系の人は白ごはんが好き その1

医療トピック

『肥満の科学 ヒトはなぜ太るのか』(リチャード・J・ジョンソン NHK出版) という本を読みました。

このテーマは古くて新しいテーマであり、痩せたい人には永遠のテーマと言っていいのかもしれません。

とはいえ鍼灸治療の臨床では基本的に健康に対する意識が高い方が多いこともあって肥満(日本人の場合はBMI25以上)の問題を抱える患者さんは経験しません。

高血圧や糖尿病もしくは腰痛、膝関節痛の原因のひとつとして体重の問題を捉えているという感じです。

日本人は肥満が少ない代わりに糖尿病に関しては欧米人に比べてなりやすい体質なのです。

今までどうして瘦せられないの?と尋ねられた時には「それは運動量に対して食べ過ぎているからです」と答えていました。

それはホモサピエンスとして地球に誕生して以来、常に空腹(というより飢餓)と戦って生き残ってきた人間がその長い間に身に付けて生き残り、種をつなげるために身に付けた様々な能力の一つでもあります。

しかし、ほんのここ数千年の間の特に炭水化物に満ちた作物の時代、更にはここ50年の急速に進んだ飽食の時代に適合しなくなったためであると説明してきました。

恐ろしく長い時間をかけて身に付けてきた、環境に対応して“生き残るための能力”は恐ろしく速い環境の変化に簡単に対応できないということなのです。

少し気を抜くと体はまた太ろうとするのです。生き残るために。

「私たちを太らせているのは文化ではなくて私たちの生物学的働きがそうさせているのだ」と述べています。

生存のために妊娠中に十分な脂肪を蓄えていることは大切であるし、水分を蓄えられない脱水症状にある動物にとって脂肪は水分源ともなっているのです。

本書では特に果糖が肥満の根本原因であると定義しています。

果糖は空腹感を持続させる働きにより食物摂取量の増加を促すことになって体重増加を引き起こすのだと。

つまり果糖は(満腹感を感じさせるホルモンの)レプチン抵抗性を引き起こすことでサバイバルスイッチがオンになり、空腹感をもたらし野生動物(ひいては私たち)により多く食べさせて体重を増加させるのです。

サバイバルスイッチの作用としては《空腹感》《渇望》《採餌行動》《摂食量の増加》《安静時の代謝低下》《脂肪蓄積》《グリコーゲン蓄積》《渇き》《インスリン抵抗性》《血圧上昇》《塩分貯留》などを挙げています。

「果糖は体をだまして脂肪の蓄積を増やさせる。これは窮地に陥る前に動物に脂肪をつけさせる見事なシステムだ」冬眠前の動物に見られるいくらでも食べてしまう脂肪蓄積モードと酷似しているのではないでしょうか。

砂糖が台頭することになって二十世紀から肥満と糖尿病が台頭してきました。

それまでよりも圧倒的に容易に糖類が手に入り体内に取り込むことが可能になって皮肉にも病気が増えることになってしまいました。

本書では食生活にまつわる病気として過体重または糖尿病予備軍に多いとされている痛風を「サバイバルスイッチ活性化の申し子」としています。

糖類の摂取過多こそがインスリン抵抗性の最終局面としての2型糖尿病をはじめ、高血圧、心不全、脳卒中、慢性腎臓病、肝臓病などいわゆるメタボリックドミノの最後のドミノに通じる原因となっているのです。

次回はタイトル回収と対策についてまとめます。

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