この試験の存在理由は

仕事

仕事が忙しくなると頚椎症による後頚部の痛み、手先の痺れや坐骨神経痛で来院する50歳代会社員女性。三連休明けに「クビが取れそう」と来院しました。なんでこんな時期にこんな上半身の状態なのかと尋ねたところ、この休日に試験勉強していたとの事。

「5年に一度あるんですよ」ということで、そんなにアップデート、更新が必要な特殊な業務なのかと思ったら、自動車保険やら保険の取り扱いをしている代理店の仕事らしいのです。しかも合格率を訊いたら「90~95%ぐらいじゃないかしら」との事でした。思わず「そんなの要るんですか?」と。

IT化やらAIやらで昔はそこそこ食べていけた行政書士や税理士も仕事が無くなっている昨今、この仕事にしても純粋に鍼灸師の仕事で食べている鍼灸師は免許取得者の半数以下でしょう。そんな資格自体にも昔ほどの価値など無くなってきている時代に保険業務の試験を5年毎に、誰得なのよと感じました。

聞くと日本の保険会社でした。外資系はそんな無駄なことしないと思うのですが、国内の決まりなのでしょうか。だって、保険見積もりのサイトで数項目入力するだけで見積もりが出てくる時代です。何の知識が、5年毎に試験までして必要なのでしょうか。

そもそも10年ほど前に保険業界を揺るがせた保険料不払い問題も、商品が複雑化して消費者に分かりにくいことが根本の問題でした。経営側に言わせると販売店側がよく理解していなかったとの事でしたが、売る方がわかりにくい複雑な商品が消費者側に理解されるのでしょうか。

素人が普通に考えたら大手損保会社の代理店への試験料ビジネスか何かとひねくれて考えてしまいます。患者さんは脱力中だったからなのか「ほんとそうよねぇ」「しようがないわねぇ」という諦観の構えでした。試験を受けている本人たちも気付いているのではないのでしょうか。わざわざ5年毎の試験をする必要なんてないということを。

この件に限らなくても、会社に行って仕事する意味なんてない、集まって会議をする意味なんてない、既得権益、慣習、同調圧力に流された非効率な仕事、そのやり方・・・。

彼女は実家暮らしで90歳を超える父親(この父親の溺愛もあり婚期を逃したと思われ・・・)をやっと施設に入所させ、80歳代後半の認知症の母親を昼間はデイサービスに通わせながら仕事を続けています。

そんな生真面目で肉体的にも精神的にもギリギリな毎日の彼女のせっかくの(日中だけの)貴重な休みに勉強しなければいけない程の重要な事項なのかなあ?と考えながら頚椎症の女性にありがちな細めの頚椎廻りとアワビのようなコリコリの背中を中心に治療をしました。

施術後、天井を見上げられるようになって「あぁ、スッキリしました」と笑顔になった彼女とは対照的に治療していた僕の方が「なんだかなぁ」とスッキリしない週末の午後でした。

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