喘息とCOPD その1

医療トピックス

肩から背中の凝り痛み、頭痛、不眠などで時々来院する患者さん(54歳男性)が数年前にフランスのリヨン出張から帰って来た時に、向こうでは大気汚染が問題になっているとのこと。毎年冬だけこんな調子だという事なので車だけのせいではないらしいと話していました。

改めて当時の情報をググってみると、仏気象局によると25%は自動車の排気ガス(ディーゼルが多いからか)、25%は薪を使用した暖房器具、に加え農業などによるものとして子供の喘息の悪化の実態を取り上げていました。

当院においても呼吸器系の愁訴を訴える患者さんは喘息気味の人から間質性肺炎、肺気腫の患者さんまでと少なからず治療しています。

中には中等症以上のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんで常識的にはお灸は煙が出るので禁忌なのですが例外的に「お灸の香りは大丈夫」と言う患者さんにはお灸を使った治療もしていました。(もちろん米粒大のもぐさの透熱灸です)

温灸ではなくほとんど煙の出ない直接灸なので腰背部(腹臥位は苦しいので坐位)や下肢(仰臥位)であればこの患者さんには問題ないようです。ダメな煙(煙草、料理)とははっきり差がありました。

この患者さんは長期にわたる喫煙からのCOPDでした。煙草の害として(直接的に生死にかかわる問題なので)肺がんが強調されますが、僕はCOPDにつながる害は同様かそれ以上に多いと感じています。

煙草と肺がんの関連性は以前から認知されていますが、個人的には受動喫煙もないためロードバイクで移動時の排気ガスの方に不快な思いをしています。

幹線道路走行時はRESPRO®の防塵マスクを使用していますが、これは自動車のすぐ横を走るので排気ガスの臭いにさらされ続ける事への対策と、長期的には窒素酸化物や粒子状物質(PM)の吸引を極力防止したいという事です。

少し古い論文ですが江戸川区も通っている京葉道路、国道14号、357号などの幹線道路沿線(千葉、船橋、市川、柏)に住む千葉県の学童の気管支喘息の有症率、発生率は田園部(市原、館山、茂原、木更津)に比較して高いという調査もあります。(島 正之 千葉医学 81:1~9 ,2005)

《続く》

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