若年層と若年時もしくは現在アレルギー疾患の既往がある大人は特に喘息への留意が必要です。また非アレルギー型では気道過敏性亢進を示唆する所見、目安としては深呼吸をした時、冷気の吸入、煙草の煙、運動時に咳が出やすい、風邪の後の咳が長引くなどがあります。
症状の変動性という特徴の所見としては季節の変わり目、花粉飛散時や日内変動(夜間や明け方に咳が多い)が挙げられます。
病院では生化学的に呼気中の一酸化窒素濃度(FeNO)の上昇(35ppb以上が気道炎症を示唆)と、喀痰中に好酸球増加(アレルギー疾患を示唆)が特徴として判断されます。
一方、アレルギー型喘息が小児喘息など20歳以下で発症するのに対しCOPDは90%が喫煙歴に由来するので40歳以上に発症するとされています。こちらは咳、痰が持続する(慢性的)というのと、階段で少し息苦しいなど労作時呼吸困難が特徴です。
確定診断には呼吸機能検査をします。COPDは慢性の気流閉塞なのでFEV1%(1秒率…肺活量のうち1秒で吐き出せる割合)が70%未満でCOPDと判定されます。
しかし、約90%にあたる軽症~中等症は潜在的COPD患者のとして存在するものの診断率は10%程度といわれ、徐々に進行するため顕著な症状に乏しく、「急ぐと息が切れる」などの軽症者は本人を含めて「歳のせい」と見逃されていると思われます。
さらに近年、喘息且つCOPDというオーバーラップ症候群(ACOS、エイコス)が指摘され複数の調査によるとおおよそ30%が喘息とCOPDの重なりの部分(ACOS)であるとされています。(日本内科学会誌 104巻6号)
喘息は吸入ステロイド(ICS)と長時間作用型β刺激薬(LABA、オンブレス®など)が処方されたりしているようですが、ACOSと思われる患者さんにはこれにCOPD治療の長時間作用性抗コリン薬(LAMA、シーブリ®)を配合したウルティブロ®が処方されていました。
重要なのは全身性疾患(への入り口)としてCOPDをとらえることです。メタボリックドミノという言葉があるように最初の生活習慣の一つの小さなドミノが最終的には心筋梗塞、糖尿病、痴呆症など大きなドミノまで倒してしまうように始まりは些細な生活習慣です。
呼吸器系の疾患に関しても、筋力の廃用性萎縮や心血管系の障害、骨粗しょう症などとの併存症(約25%がCOPD)で肺疾患が最終的に全身に及んでしまうこと、つまり加齢を加速させることを防ぐことを基本に考えるべきだと思います。
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