肩凝りと坐骨神経痛という愁訴の定番の組み合わせで来院している80歳代前半中肉中背の女性。尿漏れでずっと続けているリズム体操も億劫になり休みがちだったという事はだいぶ後になってわかってきたことでした。
実は泌尿器科にずっと通っていたそうで、本人は膀胱炎が治らないと何度も言っていたので主訴のついでにそれに対する鍼灸治療もしていましたが膀胱炎と(勘違いしていたのか)言っていたので通常の膀胱炎かと思っていました。
実は「尿漏れ」であると分かってからは骨盤底筋体操の重要性を再三説明しましたが、効く訳ないと思っていたのか地道な努力が面倒だったのか、聞き流されている状態でした。
ある日のテレビ番組で内視鏡手術で自分と同じ症状がすっかり治ったという放送を見て、早速その大学病院での診察の予約を手配し、診察を経て手術を予約して初診よりひと月半後に手術。
どんな術式か尋ねましたがこちらが恐くなるくらいにほとんど医者任せで全く理解していませんでした。民放のテレビでやるくらいなのでメッシュテープで尿道を支えるTVT(Tension-free Vaginal Tape)手術かTOT(Trans-Obturator Tape)手術だと思われます。
手術からひと月半後に従来の腰臀部の痛みで来院。術後の具合を尋ねたら「まあまあ」とあまりはっきり答えてもらえませんでした。こちら側も主訴ではありませんので立ち入った質問もできません。
手術から5か月後、効果が気になっていたので施術中に改めて「もう一度半年前に戻れるとしたらやはり手術をしますか」と質問してみました。
即答でした。「いや、しない」と。期待したほどじゃなかったという事でしょう。どういう要素でそのような結果になったのか詳細はわかりませんが残念なことです。
尿漏れも少なくなったが無くならず、排尿後には残尿感があるため下腹部を押して絞り出す技を編み出したとのこと。尿道を持ち上げているので物理的にはあり得ない症状ではありません。
術前、もしくは術後に骨盤底筋体操をやっていたらもう少し違った結果になっていたかもしれませんが、こればかりは本人次第です。
テレビを見て即対応し、かかりつけの泌尿器科医に紹介状を書いてもらい朝早く起きて江戸川区から板橋区の病院まで何度も行くエネルギーの少しだけでも、時間も場所もノーリスクでできる骨盤底筋のトレーニングに使ってもらいたかったと思います。
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