過程を静観すること

鍼灸治療

基本的に鍼灸治療を受けようと考える方はもともと東洋医学的、漢方的な考え方に興味や理解があるのでなるべく病院で薬に頼らずに症状をより理解し、生活改善など自助努力とともに症状の安定を目指す患者さんも少なくありません。

東西併用、つまり処方される薬を服用しつつ同じ症状に対して鍼灸治療もして体調の改善や減薬を目指すという考えの患者さんもまた多く存在します。

以前は痛み止め系の薬とその先の手術をすっかりやり尽くしてから「この腰何とかなりませんか」と相談されることがありましたが、正直なところ、そこまでした後でやっぱりダメという状態ではこちらもせいぜい現状維持程度が関の山です。【歯が立たなかった腰痛の一例 その1、2 2021年3月24、25日UP】

何事も症状が軽いうちに対策や治療をしなければ戻り道も厳しい道のりになります。本来であれば個人的には鍼灸治療をしつつそれで駄目な場合は薬でコントロールというのが理想なのですが、多くの人は簡便、身近で安価な薬物のみの対応に流れていきます。医師にしても生活習慣の改善を指導するほどの時間もありません。

ほんのごく一部の医師以外は鍼灸治療の良さも知りませんし「歳のせい」という圧倒的で至極もっともな理由で痛み止めやその近辺の薬理効果の薬を処方されます。

しかし、何かの拍子で鍼灸治療に出会うと自らの身体の状態に敏感になり、辛い時にだけそういった整形外科系の薬を使うように変わってきます。また、そういった使い方をした方が薬の効き方も良く、当然副作用も少ないということになります。

自分で自分の身体をコントロールしているのだという感覚もより強く持つようになり、自分の今日の体調はどうなのか何故今日は痛いのかなどと意識するようになります。

勿論、そんなの面倒臭いという方は医師の処方する薬に任せておけばいいと思います。それはごくごく普通の考え方であり、良い悪いという問題ではありません。

自分の身体へかかわることへのコントロール意識の強い人が少なからず東洋医学、鍼灸治療を選択するというのはそういうことから理解できます。

薬の場合は口に入れれば一瞬で終わってしまいますが、それに比べると鍼やお灸の治療は忙しい人には時間の浪費に思えるかもしれません。全然楽になってないよ、何も変わらないじゃないかと。

しかし西洋医学でコントロールし難い愁訴やその手前にある身体の不具合というテーマを掘り下げるにはそれ相応、いや、たっぷりの時間の浪費も必要であると考えるのです。時間を浪費する(ように見える)余裕も必要なのです。

あなたが睡眠や座禅、瞑想を時間の浪費などとは決して考えないように。

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