治療中に患者さんに何故か時々聞かれるのが「男性と女性どちらが多いですか」という質問です。
基本的に動物はオスよりメスが長生きです。それはヒトにもあてはまり、現在日本人では女性の方が89歳と約8年長生きということになっています。
女性は子孫を生み育てる身体を維持するために健康でなければなりません。
というより獲物を追い、繁殖相手を獲得するのが生きる主な目的で子作り、子育ても殆ど関わらないオスよりはかなり繊細に、敏感にできていて当然といえば当然なのかもしれません。
オスもそういう意味では「鈍感」という表現では語弊があるかもしれませんがあまり繊細でない方がいいのかもしれません。
鍼灸治療にしても他の治療者はどうなのか判りませんが、僕の場合はどんな愁訴でもやはりまず基本として自律神経の調子を考慮して治療を組み立てます。
(そもそもそんな単純なものなどないのですが)「単なる腰痛」という比較的わかりやすい患者さんは来院せず、「みぞおち辺りの気持ち悪さが乗じて背中の張り感からの左腰痛」などと言う愁訴を、主訴のめまいと耳鳴りの前に切々と訴えられて「そ、そっち?」という時も少なからずあります。
結局、身体の不調の解決を鍼灸治療に求める人は愁訴の細かいところまで施術者に訴え表現できるためその治療の評価もシビアで、ダメ出しがキツい代わりにリピートして来院するので施術者としても上記したような患者さんは却ってやりがいがあるのです。
それはつまり治療後に少しずつでも身体が改善しているのが患者さんにとっても判っているということでもあります。
このタイトルの結論をざっくり解り易く云うとその微妙な感じが判るのが女性の方が4倍であるということなのかもしれません。
以前、Medical Tribune(19.3.29配信)に「漢方外来、女性患者が多いのには理由がある」という記事が配信されました。
埼玉医大東洋医学科診療科部長の磯部秀之氏は漢方外来に女性患者が多い理由を「女性はホルモンの変動が激しい為、症状や愁訴も多彩で、漢方の特徴とその適応病態が適しているためと思われる」と日本性差医学・医療学会で述べているということです。
割合的には僕のところと同じなので、鍼灸治療も漢方薬治療も東洋医学の基本である身体全体を診て総合的にアプローチするという治療法が微妙な愁訴を訴える女性の身体によりマッチしているということになるのかもしれません。
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