大人の事情~老人ホームでの鍼灸治療

仕事

新型コロナ流行から3年半近くが経過しました。当初、直接的には僕の仕事には影響はないだろうと思っていました。

ところが20年3月1日の朝、患者さんから予約を受けて治療のために介護付き有料老人ホームへ行ったところ面会禁止ということで文字通り門前払い。貼られた紙によると前日からの対策のようでした。

しようがないのでエントランスから携帯電話をかけて中に入れないことを患者さんに説明しました。しかし、怒りは収まらないようで、唯一の楽しみ、活力の源を奪われた彼女の怒りから日ごろの施設への不満が爆発。施設の入り口で約10分間仕方なく聞いていました。

そもそもこの老人ホームは医療法人グループが経営していて病院をはじめリハビリ、訪問マッサージまで経営しているので、部外者の僕の鍼灸治療の同意書の申し込みに対しては施設訪問の医師にも、系列病院の医師にも拒否されていました。

安価な健康保険で鍼灸治療をするには医師の同意が必要なのです。充実の医療体制かと思いきや実はお陰でこういう大人の事情が発生するのです。

入居時にそのマッサージ院のお試しサービスがあったそうですが「ただ触っているだけ」との事でした。初見の高齢者に事故があってはいけませんし、望んでもいない利用者へアプローチをする“雇われマッサージ師のモチベーション”にも同情の余地はありますが、問診もせずに誰でも何でもマッサージというのも安易すぎです。

自費治療で行くことになり、最初に治療に行った時にも「お灸はしませんから(煙や火の心配はありません)」など施設長に挨拶をしましたが「もしほかの入居者に依頼されても断ってください」と念を押されました。

事実、患者さんは素直に自分がいいと思う治療を他の入居者に勧めてしまうので「私もお願いしたいのですが」と依頼の電話があり丁寧に断ったこともあります。

医師に同意書を書いてもらえませんでしたが、彼女にとってはバスに乗って当院に通っている頃からずっと健康管理に欠かせないものとして続けてきた鍼灸治療なので諦めるわけにはいかず、一回の治療で出張料を入れて7000円(4500+2500)いただいて治療をしています。

娘さんによると施設には固定費で月28万円かかっているそうですから楽じゃないと思いますが。

同意書をもらえたら1回395円(1割負担)でできたのですが。当の患者さんが望んでいる治療ですから医師がダメと言うにはそれ相応の理由がいるでしょう。(街のクリニックでは断る医師がほとんどです~大人の事情その2)

ヒポクラテスの誓いを忘れてしまっていてもいいのですが医療者は患者さんの心身の健康ために存在していることを忘れないでいただきたいと思います。

潤沢な老後資金のある方には関係のない話ですが。

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