数年ほど前に、子供を抱っこ紐(前抱っこ)で自転車を運転中に転倒して子供が亡くなり、保育士の母親が書類送検されたという報道がありました。
子供乗せ電動自転車の前に2歳の長男(ヘルメット着用)、後ろに荷物、抱っこ紐で1歳4か月の次男を抱えかっぱを着て左手に傘を引っ掛けて走行中、前輪(の泥除け)とフレームの間に傘が挟まって転倒したらしいとの事。
このよくありがちな状況の気の毒で痛ましい事故で改めて思ったのは「自転車で抱っこはあり得ない」ということです。ここ十数年でしょうか母子の外出時の姿はおんぶをほとんど見なくなり、抱っこが大多数です。
もちろん歩行時は子供の状態が確認しやすいのでそれで全く問題ないのですが自転車は危険すぎです。自転車は気軽で便利な乗り物ですが、一方で不安定且つ無防備だということを忘れてしまっているのかもしれません。
物理的に20km程度のスピードで走る訳ですから急に何かあったら慣性の法則でそのスピードで身体は前に移動します。ですからほとんどの場合は身体が飛ばされて身体の前面に怪我をするのです。手、肘、膝、顔面、頭部など。地面に身体を打ちつけないにしてもハンドルに当たっても大怪我になります。
だから自転車で抱っこはとても危険なのです。例えば前抱っこでキャッチボールなんてとてもできないでしょう。でも自転車は転倒するなんて誰も思っていないから予測できないのです。もしかすると、晴れている日はおんぶだけどたまたま雨だったのでかっぱの為に抱っこだったのかもしれませんが。
半年ほど前、アトピー性皮膚炎の6ヶ月の赤ちゃんの治療に来たお母さんに「遠かったでしょう」と言ったら「電動自転車で来たので意外と近かったです」と抱っこ紐で答えたので、それは危ないと言いました。
彼女にとっては特に浸出液で痛々しい赤ちゃんの顔をフードカバーで隠して、紫外線などから守ってあげたいという気持ちもあるのかもしれませんが転倒の危険がある限り自転車ではおんぶにしてくださいとお願いしました。前抱っこで転倒してしまっては皮膚炎どころではありません。
子供や赤ちゃんを自転車に乗せる時は転倒するかもしれないということを頭に入れて欲しいと思います。身長の3倍以上の高さから倒れて放り出されるかもしれない(しかもとっさの防御もできない頭の柔らかい赤ちゃん)という万が一の予測があれば行動も違ってくるのではないでしょうか。
子供乗せ自転車に関しては4人乗り(子供を3人乗せ)でも警察は関与しません。雨の日の傘さし(しかも狭い歩道)運転、スマホを見ながらの運転も交番や京葉交差点の警察官は放置です。いちいち注意していたらキリがないくらい多いからです。イヤホンは交通に関する音が聞こえれば差し支えないとの都の道路交通規則の玉虫色解釈です。とても僕には考えられません。
結論としては、自分の家族の安全はやはり親が意識し責任をもってできる限りの安全を考えて自分達で守るしかないのです。データとして出ている以外の、警察や保険会社が認知していない自転車の事故は当然もっと格段に多いでしょう。毎日自転車に乗っていて、そんな自転車の親子を毎日のように見ています。
仕事と育児をギリギリで頑張っていたであろうこの母親の心が少しでも早く癒されて前を向ける様に、そして同様の事故がもう起こることのないように願っています。
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