身体も気持ちも自分コルセット

鍼灸治療

街を歩いていて鏡やウィンドウに映る自分の姿が「誰?このお婆さん」とがっかりしたという話を治療中によく聞きます。もしくは映った姿は見ないようにしていると(現実逃避型)。

基本的に胸椎の上部(背中の上の方)が年齢とともに後弯(後ろに曲がる)して、首から上が前に出てきてそれを補正する(前方を見る)ために頭を持ち上げるような感じです。

まとめると背中は曲がり肩は上がって顔が前に出てというスタイルになります。

これを克服するにはどうしたらいいのと聞かれます。「猫背矯正」とか「肩甲骨はがし」で稼いでいる知り合いの整体師はその昔は「骨盤矯正」もっと前は「O脚矯正」をやっていました。

彼の顧客はそれはそれで満足しているのでいいのですが、僕には「O脚は治らないよ(笑)」と言っていました。そりゃそうです、もちろん彼はそれを知っていて商売としてやっていました。

僕の考え方としては曲がった柱は元に戻りませんと患者さんに説明しています。築50年で閉まりの悪くなった襖みたいなものだけど、少し隙間が空くけれどまあ使えるでしょうと。

だとすればこれ以上曲がらない様に大切に使いましょう、その為には痛いから痛み止めという考え方は姑息的(その場しのぎの)治療なので長期的には成立しないことが多いのです。目を背けているだけでは改善につながりません。

短期的にはそれも致し方ありませんが、大切なのは可能な限り根本の原因に合わせた対策を講じることです。冒頭の患者さんのように猫背気味なら胸を張って顎を引いて深呼吸をして肩を下げる。自分で意識する、いわゆる意識のコルセットです。

それでもやっぱり生理的な流れは止められないのが歳を取るということです。しかしながら自助努力も忘れないでいただきたいのです。

それをせずに痛い時には痛み止めのみ、もしくはそれに加えてサプリメントという人が多いのです。努力はせずにパワースポット、受験に向けて勉強はせずに合格の御守りを集めるようなものです。

もちろん全ての人がそうではありませんし、当院で治療(この場合は直接の透熱灸という手法)し、日常生活を改善しても結果が出なかった例も山ほどあります。

しかし、体操でも散歩でもいいのです。後悔しないためにも自分のできること、自分で意識し注意できることはたくさんあるのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました