鍼灸院を始めて26年が経ちますが、治療をする場所ということで考えると二つに分けられます。それは治療院での治療と患者さん宅(施設を含む)へ行っての治療の二つです。
長く続けていると必然的に出張治療という治療形態が派生してきます。
元々、通って来てくれていた患者さんが通院できなくなって出張治療をお願いされるという流れです。
これはこれで既にお互いに東洋医学、鍼灸治療の良さを理解しているので移行もスムーズです。
歳を取って少しずつ衰えていくのは自然なことなのですが、そんな中で少しでも快適に過ごしてもらうために訪問して治療をするということです。
それとは別に訪問治療でも、元々鍼をするなんて夢にも思っていなかった全く鍼灸治療をやったことのない患者さんの治療をするということも少なからずあります。
これは導入口は訪問看護師さんやケアマネジャーさんからの紹介なのですがこれはこれで治療家としてのやりがいがあるのです。
それは患者さん本人は鍼灸治療に期待や思い入れなど無いのですが、この痛みを何とかしてほしい、この不快を改善してほしいという患者さんや家族の強い思いを訪問看護師さんやケアマネジャーさんがなどが「これは鍼灸治療を試してみたら・・」と判断してこちらに提案してくれるのです。
基本的に看護師さんやケアマネジャーさんのほとんどはマッサージはともかく、そもそも鍼灸治療を知らない、というかそこに親近感も感じていない「鍼って効かないんでしょ?」という人が普通です。
その原因は、訪問や介護の現場での多くは臨床経験や知識の少ない鍼灸師が圧倒的に多く、しかもそれに対して患者さんのほうは高齢で難治の愁訴を抱えているといった成果を出すには厳しい条件のためだと思っています。
しかし、表現は悪いかもしれませんが「磨けば光る」のです。
そんな厳しい現場の認識のなか、ごく一部に東洋医学好きというか、西洋医学、西洋薬との違い、それぞれの良さを理解し共感していただいている訪問看護師さん、ケアマネージャーさんの紹介で成立しています。
こういった状況から紹介された患者さんからはそんなに期待をされていない分、患者さんにとってはそのギャップ、治療する側としてはやりがいが大きいのです。
もちろん結果が出せないことも多々あります。それは患者さんの数だけ個別に状況がありますし、多くの患者さんたちは安静、検査や様々な処置、薬を経てきています。
何しろそもそも加齢という避けがたい、且つ抗しがたい大きな壁もあります。
しかしそんな状況を鑑みてもこんな患者さんはどうですか?と提案してくれる関係者の期待に応えるためにも、また半ばあきらめ気味の患者さんのためにも意気に感じずにはいられないのです。
訪問治療はお昼から夕方までなので数もできませんし、そういった状況から変化もなかなか微妙なのですが継続して治療することによってQOLが改善することも少なくないのです。
幸い江戸川区には75歳以上の方には1回300円で鍼灸マッサージ治療を受けることができる三療券という制度があります(出張費は別途)。
鍼灸治療を経験したことのない人や以前鍼灸治療をやったけど効果がなかったという方を含めて(鍼灸治療は施術者による知識、技術の差がとても大きいので)この制度を活用して少しでも快適な生活を目指していただきたいと思っています。



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