リリカのやめ時 帯状疱疹(三叉神経)編

以前にも書きましたがリリカを処方されている患者さんは坐骨神経痛を中心に結構いらっしゃいます。医者は患者の訴えに対処しない訳にはいかないので「先生だけが頼りなんです」「この(予約)日を待ってました」(当院の患者さん調べ)などと切実に強い痛みを訴える患者さんにはプレガバリン(リリカ®)やミロガバリン(タリージェ®)、トラマドール+アセトアミノフェン(トラムセット®)、デュロキセチン(サインバルタ®)などが処方されます。

その中の一人に以前、三叉神経第一枝の眼神経の帯状疱疹に罹患しリリカとトラムセットを服用していましたが痛みが引いてくるにしたがって、もしくは感覚が戻ってくるにしたがって副作用の浮遊感が強く感じられるようになった患者さんがいました。

リリカ服用時のめまい感を経験した方はよくわかると思いますが、リリカの中途離脱の一番の理由は浮遊感です。しかし、これらの副作用が辛いという患者さんの訴えを聞いているとその痛み(主訴)が実はそれほど強くない、つまりリリカを使う痛み以下(セレコックス、ロキソニン等のNSAIDsで対応すべき痛み)ではないかと思える患者さんもいます。

この患者さんも強い痛みの時は側頭から上眼窩部の疼痛が強く、浮遊感など全く感じることもなかったのですが浮遊感が出現して、つまり主訴より副作用が上回るようになった時点でリリカのやめ時と考え、それなら止めたらどうですかと提案しました。

もちろん判断は医師ですがいずれにせよ痛みに関しての判断基準は患者の訴えに依存するしかないのですから、患者さん自身でコントロールするべき領域だと思います。

この患者さんも総合病院の皮膚科に「予約票が出るので仕方なく」通っていますが、発症当初は麻酔科で眼窩上神経ブロックをしていましたが、現在はリリカやトラムセットを服用するほどの痛みでもないので、現状を確認して帰るだけとのこと。

しかし、眼瞼の動きを含め見た目も皮膚の潰瘍の痕以外は全く分からないところまで回復しているのですが本人はまだ痛みや眼瞼、眼球の違和感があり月数回の鍼灸治療に来られます。

患側の耳の周りの反応点、三叉神経の眼神経分岐部に出来るだけ近いところや患部を中心に全身的な治療をするのですが、もう少し効果が持続することはできないか苦心しているという現状です。帯状疱疹後神経痛は全身状態の改善も含め少しずつです。

何しろこの隙間産業的な微妙な要求に対応できる守備範囲もまた鍼灸の魅力、存在理由でもあるのですから。

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