慢性副鼻腔炎 そもそも論

肩関節痛で来院してから10年以上定期的に来院するとても健康に気を使うストレスフルな40代前半男性。

昨年末から風邪がなかなか治らないと言っていましたがそのまま1か月経過しました。薬も当初の急性副鼻腔炎対応のマクロライド系抗菌薬(クラリス®)とカルボシステイン(ムコダイン®)から慢性対応のクラリスロマイシンの少量長期投与に変更されていました。

前回の来院時には「コタローの何とか」と言っていたので漢方薬が追加されたようです。この近辺にも耳鼻科や皮膚科が複数あるので医者側も引き出しを多くしないと、漢方嫌いではこういった要求の細かい患者の症状、ニーズに応えられないでしょう。

西洋医学的には身体としてはもう風邪は治っている状態なのですが、本人には微妙な鼻、咽喉症状が残ることがあります。

昔はよく街中で「カ~ッ・・・ペッ」という聞きたくないノイズがありましたが、あれの原因も慢性副鼻腔炎がかなり含まれていると思います。後鼻漏を含む、喉に粘液が貼りつく感じが不快であるため、喉に圧をかけてネバネバをこそぎ取りたいのです。

じゃあ鍼灸でこれを治せるのかというと、その症状が出現してこないようなもしくは気にならないような身体の状態にもっていく、という判りにくい表現でお許しください。そもそもの始まりは風邪ですからそこから見直さなければと言ったほうがいいかもしれません。

風邪をひかない、さもなければ年3回を1回に、もしくは直前でふみとどまれる(気づける、修正できる)身体にするという事でしょうか。却って解りにくい・・・。

安保徹先生は5年ほど前に亡くなられましたが、エビデンスが全ての西洋医学の中ではトンデモ扱いされることも多く僕も安保先生の本は話題になった最初の一冊しか持っていません。

それは考え方に賛同しないのではなく、むしろ東洋医学的な身体のもっていき方としては最もといえることで、こういった考え方のコンセプトは一冊で理解できたと思ったからです。

それこそ、そもそも論からのアプローチなので科学として医学をとらえる人たちには理解されない、違和感が強いのも当然かもしれません。出発点が違うので比較できませんし、すること自体あまり意味がないでしょう。

ざっくりいうと「風邪は日頃からひかないようにしようと心掛ければいいでしょ、ひいたらしばらく経過するまで養生していましょう」というのが東洋医学的、その先の、「でもそれは建前でいろいろあってやっぱり風邪ひいちゃうし辛いので症状を少しでも楽にしてあげましょう」というのが西洋医学的立ち位置といえるかもしれません。

じゃあ風邪ひかないようにするにはどうすればいいのかというと、これはもう誰でも理解していることと思いますが、身体を冷やさない、疲れすぎない、睡眠不足にならない、精神的ストレスをためないなど常識的な要因だけです。

働いている方の環境で考えるとブロガーのちきりんが『求められてる「働き方」はコレだ!』で書いていましたが、リーダーシップを取る機会(ある、なし)と労働時間(長い、短い)の二つの要素に注目した仕事の仕方、選び方から考えてみることも重要だと思います。

武田邦彦氏も何かの専門家(=技術者)になることを勧めています。“他人にゴマすらなくていい”“自分の専門に熱中して仕事をきっちりやればいい”と一生幸せに生きられる職業を芸者、棟梁などを例に挙げて述べています。(YouTube 現代のコペルニクス#94芸者)

とどのつまり、本多静六の言うところの「仕事の道楽化」という考えに収束されるのかもしれません。(「本多静六自伝 体験八十五年」 本多静六著、実業之日本社)

僕も職人、技術者の端くれ且つ自営業者なのでボーナスはもちろん、週休二日、ゴールデンウイークも無い環境ですが、仕事を好きでやっているという事を有り難く思っています。

結局のところ自営、被雇用にかかわらず精神的にも肉体的にも自己管理という事に行き着きます。少なくとも自分の人生の、心と身体のリーダーシップを取れるのは自分自身だけなのです。

『(働き方のシフトの)第三の資本は、情緒的資本、要するに自分自身について理解し、自分の行う選択について深く考える能力、そしてそれに加えて勇気ある行動をとるために欠かせない強靭な精神をはぐくむ能力のことである。自分の価値観に沿った幸せな生き方をするためにこの種の資本が必要となる。』

『未来の世界を形作る要因の数々を考慮に入れると(略)大量に消費することより、上質な経験をすることが望まれるようになり、「豊かさ」や「贅沢」という言葉より、「幸せ」や「再生」という言葉が職業生活の質を評価する基準としてよく用いられるようになると、私は予想している』

(参照 「ワーク・シフト」 リンダ・グラットン著、プレジデント社)

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