営業成績は最高、体調は最低

仕事

毎年、正月明けにだけ2日続けて来院する40代、農業機械販売の営業所長。地方在住の方ですが毎年必ず農閑期の一月半ばの時期に営業成績優秀者として夫婦で表彰されるようで宿泊先の台場や舞浜のホテルから治療に来ています。

去年の夏の終わりに電話があり、腰痛、下肢痛で「右足が前に出ない」「車の運転が辛い」とのこと。たまらず行った病院でのMRIでもヘルニアと診断されたとのこと。

責任感が強く真面目で営業成績のいい人は往々にして営業成績と健康状態がトレードオフの関係になることが多く、結果的に自分の健康を犠牲にするようにして営業目標を達成します。

これはとても危険なことで、体力や精神力に余裕があって行け行けでやっているうちはいいのですが予算はクリアすれば永久に上がり続けるものでそれは必然的に限界があり肉体的精神的な限界を来たします。

この患者さんは腰椎5番のバルジング(髄核の膨隆)からの症状らしく、痛み止めで安静にして2日だけ仕事を休んだそうです。その後も思わしくなかったと。

もちろん過労やストレスが腰椎にトラブルを発症させたこの患者さん以外にも消化器に症状が出たり、精神的な部分に症状が出現するなど人それぞれです。

真面目な人にありがちなメンタルに出る症例に関しては他の症状に比べて顕著に出ないにしても、家族との関係が弱くなったり、仕事や余暇に向かう活力が低下した症状などとして出がちです。

僕は電話で「もう正月明けに東京に呼ばれなくていいからそこそこの成績で身体の成績重視でお願いします」と答えました。

部下のストレステストの結果まで心配している、皮肉にもストレスフルな彼の立場ではそれはそれでまた大変なのかもしれませんが。サラリーマンの永遠のテーマなのでしょうか。

地元ではお客さんに紹介された鍼灸院に時々車で片道1時間半かけて通っているそうです。「まあまあ普通にやっています」と。しかし服用している薬を聞いてビックリ。リリカ、トラムセット、セレコックス・・・。あぁ、またかと。

こんなのを何か月も。服薬アドヒアランス良すぎでしょうと。きっちりピルケースに入れて東京にも持参していました。そりゃ普通にやれますよ、いや彼の場合は普通以上に。でも薬物療法だけでそこに未来はあるのかということを治療中に話させていただきました。

医者は当然良かれと考えて処方しますがこれは薬の性質上、降圧剤などのように継続して服用するものではありません。

この時世のせいか今年の1月は来院しませんでした。来年は来院するのでしょうか。来ないとそれはそれで心配なのですが。収穫期のこの時期に思い出される患者さんです。

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