以前、外出時は片目だけハードコンタクトレンズで近視を矯正して生活している患者さんのことを書きました。【元祖モノビジョン法 2021.4.21】
トライアスロンのレース中にとても痛い思いをしてから、レース中や運動中のリスクを半分に減らすため片目だけ装着して練習していたらそのまま日常でも問題なく過ごせるようになったということでした。
脳は左右の目からの画像を合わせて見えていると認識しているのですが、片方の眼の画像がピンボケの場合は脳では自動的にしっかり見えている画像のみを見えている画像として採用しているのです。
この患者さんは誰に聞いた訳でもなくこの技を苦肉の策で編み出したのですが、いつもそうしているのではなく、自宅やデスクワ-クの時は眼鏡を使用したり、適宜両眼コンタクトレンズを使用しているようでした。
このようにいろいろ選択肢もある中でのやり直しの可能なモノビジョン(≒ガチャ目)なら良いのですが。
先日、腰痛と膝関節痛の治療をしている80代男性が久々に来院しました。治療は腰痛なのですが、治療中に「それよりも」と最近の不満を訴えます。
白内障の手術したのですが調子が悪くて困っているのだということで聞いてみると何と、左目だけ多焦点レンズらしいのです。
白内障治療でも健康保険の効く単焦点レンズを片目ずつ(左は遠く用、右は近く用など)焦点距離をずらして眼鏡なしに遠近をカバーするモノビジョン法という選択肢は以前からありました。
しかし片方だけ保険の効かない多焦点レンズにするという選択肢はどうして出てきたのでしょう。新型モノビジョン法なのか。
実は先に奥様が白内障の手術をしていて、多焦点レンズを選択した結果がとても良いというあまりにも身近な人の勧めがあったのです。少し金額は張りますが遠近両方見えるのならと御主人も多焦点レンズを選択して手術をしました。
ところが全然ダメなのだそうです。実際、細かい作業には向かないとか光や色がぼやけるなど多焦点レンズ特有の欠点もあります。
またそもそも多焦点レンズの特性を頭では理解していたとしても実際に慣れるまでには個人差もありしばらく時間がかかるとされています。
しかしこの患者さんの場合は残りの右目の手術までどれだけの間隔があったのかは聞きませんでしたが、結果的に多焦点レンズは左目だけにして右目は単焦点レンズという選択をします。
調べてみると単焦点レンズだけではなく多焦点レンズを使用したモノビジョン法もあるようです。やはり目的は同じで遠近度合いを左右で少しずらすことで見える範囲をお互いにカバーしようということです。
結局モノビジョン法の道理で見えやすい方、ピントの合う方の映像を脳では画像として認識するのでそういった目的での白内障手術でのレンズの選択法もありなのです。
という訳で腰痛より見え方の不具合の方が気になっているようでした。医師からも脳が慣れるので大丈夫と言われているらしいのですがこういう適応力ばかりは人によっても全然違ってきます。
しかし、前述の患者さんと違ってこちらは不可逆的な処置ですからもう受け入れて慣れるしかありません。
次回来院した時にはだいぶ慣れているようで安心しましたが、頑固な人だけに心穏やかに過ごしていただきたいと心配しました。
もし私が白内障手術をするとなったら仕事が手元の細かい作業なので健康保険の利く単焦点レンズで手元重視(近視)一択だと思っています。
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