便失禁と尿漏れ

医療トピック

以前に【それって臓器脱じゃない?】(2022年4月19日UP)で不思議な体験を書きましたが、ああいった陰部の微妙な違和感、異常感覚と同様に便失禁もあまりというかほとんど話題にはなりませんが尿漏れと同様、女性に多い症状です。

2017年には診療ガイドラインが出されている位ですからそこそこメジャーなのです(推定500万人)。女性に多い理由はやはり、出産や加齢による骨盤底筋の筋力低下と便秘薬の多用の影響であると思われます。他に糖尿病、痔の影響も指摘されています。

基本的な対策としては尿漏れ同様に骨盤底筋訓練(体操、運動)です。尿道、膣、肛門を閉める筋トレを思い出したときにやる(とにかく何時でも何処でもできるのがいいところです)。便を定期的に出すような腸の環境、つまり不溶性食物繊維(大豆、野菜など)をよく摂ることで半分は改善すると言われています。

当院の患者さんでも尿漏れのある方は、来院する患者さんでも(区の補助があり総額9千円まで1割負担で配送してくれる)使い捨てオムツや尿取りパッドを使っている方もおられますし、便失禁にしてもそれなりの割合で存在しているのだろうと予測されます。

生活、食事の改善、骨盤底筋体操、薬で90%は改善しますがそれでも加齢や腰部脊柱管狭窄症、神経根症などで直腸から肛門、膀胱の感覚、運動が障害されている患者さんには仙骨神経に鍼をして低周波刺激をする治療をしています。

基本的にはめったに便失禁を訴えられることはありませんが、日常的に使い捨てオムツを使っている方は在宅患者さんを中心に一定数いますしその中には真剣に悩んでいる方もいました。やはり人間の尊厳に深くかかわることなので体重の管理の徹底、上記の指導と鍼灸治療をしました。

このような治療では同時に尿漏れも改善することもあります。単独の尿漏れに関しては陰部神経への治療で効果があります。女性の場合、尿漏れ以外にも排尿前後のムズムズ感、切迫感や違和感、痒みなどで婦人科や泌尿器科を受診し過活動膀胱、神経因性膀胱や膣炎、膀胱炎を指摘され坐剤や服薬で対応しますが、なかなか違和感、不快感がとれないという悩みを聞くことがあります。

テレワーク疲れで来院したついでに確認した薬のチェックでその症状を初めて教えてくれた40歳代女性には数回の治療で改善しました。婦人科特有の冷え、瘀血症もあった為、合わせて自宅でせんねん灸もやってもらいました。

このように、女性の泌尿器、婦人科、肛門科の特に感覚、運動に関する症状には仙骨神経、陰部神経への鍼灸治療がいい効果につながることがよくあります。ちなみに鍼を刺す場所は腰痛治療と同じ腰臀部(仙腸関節)です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました