がんを回避する方法

医療トピックス

昔は「うちはがん家系じゃないから」などと言う患者さんがいましたが、これだけ高齢化社会になった現代の日本においては男女とも2人に1人はがんにかかり、3人に1人はがんで亡くなっています。

米国がん協会が2024年7月に学術誌に発表した、「がんによる死亡の50%、がん症例の40%は生活習慣の改善で防げた可能性がある」という内容を基にして対策を書きます。

そもそも、我々の身体は約30兆個の細胞からできています。細胞は新陳代謝によって生まれ変わっているのですが若いすべすべの肌もしわが増えてゆくように全てが少しずつ老化の道をたどります。

どれだけ変化に気をつけていても各々の細胞の長い間のコピーの繰り返しによって複製エラーが起きてしまいます。

健康な人でもそれは常に起こっています。しかし、特に若いうちはそのコピーミスの細胞を免疫細胞が見つけて処理をしているのでがん化はしないで済んでいるのですが、年齢、環境など様々な要因から処理しきれないままのコピーミスの異常な細胞が細胞分裂で遺伝子に変異が起こり更に増え続けるとそれがかたまりになってがんとなります。

さて対策ですが、まずがんになる機会を減らす、遺伝子変異を防ぐという意味ではウィルスや細菌感染によって起こるものもあるのでその対策をすることによって防ぐことのできるがんがあります。

それはヘリコバクターピロリ菌による萎縮性胃炎からの胃がん、B型、C型肝炎ウィルスによる肝硬変からの肝がん、HPV(ヒトパピローマウイルス)による子宮頚部異形成からの子宮頸がんなどです。

また様々な長い間で繰り返される刺激も遺伝子変異を起こしやすくなります。

皮膚ならば紫外線の長い時間、期間の暴露、口腔ならば繰り返される入れ歯などの長期間の物理的刺激、のどや食道なら熱いもの、濃いお酒などアルコールの刺激がそれにあたります。

たばこは肺がんは言うまでもなく発がん物質の筆頭に挙げられ、電子タバコもエビデンスはまだですが程度の差こそあれ良くないとされています。

喫煙者は手術をしても予後の成績も非喫煙者よりも悪く、傷も治りにくいと医師が書いているのを読んだことがあります。

アルコールも以前から何回か書いていますが現在のエビデンスでは理想は飲まないことがベストだとされています。

逆に野菜は積極的に摂ることを推奨しています。

そして塩分を減らすことも大切です。日本人は世界平均の1.5倍の塩分を摂取していてそれが胃がんが多い理由のひとつとされています。

そして運動の習慣です。都会で暮らす現代人は便利なサービスにあふれていて、ともするとほとんど動かずに日常生活が送れてしまいます。

しかし人間も動物ですから身体を使わずに、つまり身体に負荷をかけずに筋力や骨、関節、平衡感覚など連携した運動機能を維持することは不可能なのです。

体重もそうですがBMI、もっと言うと体型の維持を意識されることをお勧めします。

こうやってがんを50%遠ざけるリストを見てみると結局がんを遠ざけるというより全ての健康法に通じているのがわかります。そして今更目新しいものはないのです。

加えて大切なのは自分の価値観に従うのが重要だということです。すべては一般的な話ですから無理矢理これに全て従えという訳ではありません。そのような考え方に縛られることは逆に心身の健康から離れてしまうような気もします。

男性では前立腺がん、女性では甲状腺がんなどは予後がいいがんだとエビデンスから周知されてきましたが胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がんなどやはり検診が大切です。

悪性の細胞が小さいうち、コピーミスが更にコピーされ大きくなってそこから広がってしまう前に発見すること、つまり定期検診も重要になります。

ここまでできる範囲やったらあとは運です。なったらなったでガイドライン通り行けばいい、というか行くしかない。

「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候」という良寛の言葉、地震で我が子を失った友人への手紙ですが深いものがあります。

「死ぬる時節には、死ぬがよく候 是はこれ、災難をのがるゝ妙法にて候」と続きます。

現実を受け入れれば、悩み苦しむことも無いと。身も蓋もありませんが何しろ50%の確率で罹患する時代です。

現実を受け入れ粛々と対処(これをポジティブ思考というのかはわかりませんが)することが最強の対処法だと説いているのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました