「おしっこちょっぴりもれたろう」と前立腺肥大症

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「おしっこちょっぴりもれたろう」はヨシタケシンスケの絵本です。いつもちょっぴりちびってパンツを濡らして落ち込む主人公の男の子に禿げ頭のおじいちゃんが最後に「ボクもだよ」と告白するというハートウォーミングな内容なのですが。

この男の子とおじいちゃんでは「ちょっぴりの尿もれ」のその機序が全然違います。

男の子の方の原因は脳と膀胱とを連絡する神経が未発達なためで、当然成長に伴って制御されるようになります。

しかしながら、おじいちゃんのちょいもれはそのままでは治ることはありません。勝手な想像ですが、一般的には前立腺に原因があるために微妙に少しずつ症状が進みます。

尿道の途中(を取り巻くように)にある前立腺が加齢によって肥大して圧迫するために体外へ排出したはずの尿が膀胱と前立腺の間で出し切れず滞ってその少量の尿が後から腹圧などで少しずつ押し出され出てくるのです。読んで字の如く「排尿後尿滴下」といいます。

その他にも急に尿意が我慢できない程強くなったり、尿意を感じてトイレに行っても思ったほど出なかったり、勢いが弱い為時間がかかったりするのも前立腺肥大の影響が強く疑われます。

前立腺肥大症には処方薬のほか、吸収力のある下着か尿取りパッドで対応すればいいのではないかと思います。鍼灸治療院バイアスがかかっていますが手術で満足する結果を得られた患者さんは多くない印象があります。

その一つには混み入った場所であるために手術の際に前立腺の周りの神経を傷つけやすいということが挙げられます。手術を勧められた際にはこの辺りの確認、同意が大切です。

前立腺肥大症の為に現在鍼灸治療している患者さんは、心臓にも病気を抱えているために薬が制限され泌尿器科で導尿を勧められているのですが、本人が面倒なので嫌がって、という一例だけです。

また、前立腺肥大症と同じような症状ですが前立腺がんの可能性も考えられます。これは高齢になってからは比較的進行が遅く寿命に影響しないことが多いのですが、中年~70歳程度では気を付けなければなりません。

江戸川区では60歳から5年毎に無料検診があります。腫瘍マーカー(PSA)を血液検査で簡便に判断できます。症状だけでは肥大症かがんか判らないので定期的にPSA値を把握しておくことは重要です。

他の原因で亡くなった高齢の男性を調べたところによると多くの男性に前立腺がんが認められたということからも高齢者に関しては進行が遅く予後に影響しにくいがんと言うこともできます。

データでは前立腺がんの5年生存率は98.8%(2010~11年に診断された患者、がん全体の平均は66.4%、国立がん研究センターの報告書より)ということでかなり治療成績がいいということがわかります。

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