それって臓器脱じゃない?

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江戸川区の紙おむつの宅配支給サービス(60歳以上で9000円まで1割負担)を利用して、使い捨て下着として使用している狭心症による左肩背痛などの80歳代女性。

先日治療中に要支援の人にも紙おむつが普及しているという話になって「うちの患者さんでも前立腺肥大症の男性や尿漏れの女性が普段から使い捨ての下着として使っていて、みんな歳を取ったら似たようなものですよ」と話をしました。

ついでに女性の膀胱の向きや位置、出産による筋肉の損傷、筋肉の低下、骨盤内臓器の上にあるお腹回りの脂肪組織の増量の影響で尿漏れはしょうがないものですよという話をしていたところ・・・。

「言っていいのかわかんないけど…この間こういうことがあったのよ」とカミングアウトタイムに。患者さんが言うには便が漏れたような気がして慌ててトイレに行ったらお尻の肉だったと。

最初僕は何を言っているのかわかりませんでした。笑っていいのかダメなのかすら。いくらお尻の肉が垂れても、肛門の感覚とお尻の肉は間違えないだろうと思いました。が、5秒ほど後に気付きました。

彼女が言っていたのは直腸脱のことだったのだと。高齢女性によくありがちな臓器脱のことを言っていたのでしょう。くしゃみや笑った時やトイレで腹圧で尿や便ではなく(もしくは同時に)内臓そのものが外に出てきてしまうのです。

出てくる部位により膀胱瘤(膀胱脱)、子宮脱、直腸瘤(直腸脱)とも言います。ひっくるめて骨盤臓器脱と呼びます。この患者さんの様に、下ネタは余程の間柄でないと言いませんが、かなりの高齢女性が似たような経験をしていることと思います。

で、「それって脱肛のことを言ってるんですよね?」と確認したら何と、「いやいや、わたしは腸は出ないわよ」ときっぱり。あくまでも自分の垂れたお尻の肉を便漏れと勘違いしたというのです。

太めの高齢女性なのですが、どこをどうやってお尻の肉を便漏れだと勘違いするのか・・・。それ以上突っ込む気にもならずスッキリしない残尿感のみを残してその問答は終了したのでした。

臓器脱とはまた別の症状ですが、40歳から更年期にかけて陰部の違和感を訴える患者さんが時々います。膀胱炎でもなく膣炎でもないと診断されて、しかし本人は納得できないと。というか実際は何とも言えない違和感なんですとの事。

そういう時には陰部神経に刺鍼をします。陰部神経といっても坐骨神経の近くなので腰痛治療と同じように仙骨部、臀部に鍼をします。この治療で排尿前後に感じる陰部の違和感や気持ち悪さが改善されることが多いのです。

一度の治療で著効しない場合でも定期的に治療することによって違和感の低減が維持されることもあります。

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