気付き、受け入れて必要な事に取り組め

医療トピック

行動理論をベースとした認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy:CBT)のひとつ、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance&Commitment Therapy:ACT)が『あっという間に人は死ぬから』でも説明されていました。

このACTは個人的にも自分で積極的に意識することによって日常の思考や行動を改善することができる簡便なツールだと思っています。

認知行動療法が文字通り考え方、思考や行動を改善していくことで問題解決に焦点を当てるアプローチであるのですが、ACTは自分自身や自分の状況を受け入れて(アクセプタンス)目標に向かって行動していく(コミットメント)ことに焦点を当てることを意図しています。

その具体的な方法としては6つのプロセスがあります。

  1.  まずAcceptance(アクセプタンス)~今この時の感情思考は受容してそのままにしておく、それに反応しないのです。

『反応しない練習』草薙龍瞬著 KADOKAWA という本がありましたが、メンタルが弱い人ほど反応してしまうのです。同様にネガティブに受け取る傾向がある、また現状に不満のある人ほど頻繁に怒りの感情を伴います。

誤解を恐れずざっくり言ってしまえば、弱い犬ほどよく吠えるということです。そういう方にはいちいち些細なことに「反応しない」と口癖のように心で唱える習慣化をお勧めします。

 2.Cognitive Defusion(認知的分散)~思考の内容と感情との間の距離を取る、すなわち客観視するということです。

思考とアクションの結びつきを弱めることで強迫観念に伴う不安や侵入思考の頻度を低下させます。

 3. Values(価値観)~望む人生の方向を意識し言語化するということです。○○でありたい、○○したいと具体的に自分にとって何が大切と考えられるかを知るということです。

 4.  Present Moment Awareness~コントロールできない過去や未来を気にするのではなくこの瞬間を意識して、今に集中するということです。

 5. Commited Action(コミットされた行為)~目指す価値に向かって目標を設定し行動実行する、つまり無駄なことにブレたりせずに必要なことを行うということです。

 6. 文脈としての自己~第三者になったつもり(俯瞰的目線)で自分は○○だという様な思い込み、執着を弱めることで自分の中の感情、思考とそれを感じる自分との違いについて区別できる、気付いていることが重要であると。

これがACTの概要なのですが要約するとすれば、今に集中することに気付く(マインドフルネス)→受け入れる(アクセプタンス)→重要なことに取り組む(コミットメント)をこの6つの要素に分けて理解すること。

その結果として「心理的柔軟性」を増やし物事に対応する能力、耐性が高まると言い換えてもいいかもしれません。

それによって自分の行動を妨げてしまう思考や感情にとらわれることなく生活していくということが最終的な目標です。

結局、身も蓋もない言い方ですがその人個人の思考法、考え方なのだということです。

京都大学元総長の平澤興氏に次のような言葉があります。

「人間を苦しめるのは不幸そのものではなく、不幸だと思うその考え方自体である」

これは日々患者さんと対面していてまさにそうだと共感させられることでもあるのですが、治療においても患者さん本人の考え方(向き合い方)が全てと言い切ってもいいくらい重要だと思っています。

佐藤舞氏の著書をとり上げCBTやACTについて3回にわたってしつこく書かせていただいたのも、日々患者さんに対して感じていることも平澤先生のこの言葉に集約されると思っているからなのです。

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