不安感で「保険」の日本人

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妹さんと暮らす50歳代の女性。

治療中にいろいろな相談をされることもあるのですが、ある日「あした生命保険の更新なのだが保険料が高くなって支払いがしんどいんだけど・・・」とのこと。

保険会社も商売です。歳をとってリスクが高くなるのですから掛け金が高くなるのは当然のことです。

これは日本人にありがちな予期不安、ネガティブ志向が現れている典型的な例ではないかと感じました。

独身で子供のいない二人姉妹は、もし何かあっても扶養家族がいないので路頭に迷う家族はいません。

医療にしても国の保険で標準治療は受けられますし、もし高額になっても高額医療費免除制度で一定額以上の支払いは免除されます。

しかし、そんなに厚くしなくてもという保証の保険に加入してしまいます。

彼女は死亡保険の心配までしていました。何の為に・・・。

「もし病気が心配なら同額を毎月貯金すればいいのでは。それなら誰も高額な手数料を抜きませんし、手元に現金が残るからいいのではないですか。」

しかし、回りに有用な情報がないのと「保険」というシステムに加入することそのものでより強い安心感を得ようとしているのかもしれません。

自身の健康度は変わらないのに。金額、条件を計算すればわかることですがそれをしようとはせず、その代償としてとても高い「安心」料を払っているのです。

貯蓄はたいしてない割に保険ばかり充実させるのは収入や現状に対応する保険料としては甚だしく不相応なのではないでしょうか。

逆にだから不安なのだという言い方を彼女はしていました。

少し先の未来も予想し難い昨今の状況ですが、不安ばかり意識しそれを抱えて何事をも躊躇していてはそれこそ気持ちも閉塞してしまいます。

これからはこうなるであろうと自分の考えている生活も、そのようになる保証など全くない時代です。

予想がつかない未来に向かって粛々と受け止め自分の意志で進むしかありません、未来はいつの時代でも予測不可能なのですから。

そこを今日できること、今するべきことをしっかりやって一日に感謝して床に就く。

そういうシンプルな心構えこそが大切なのではないかと感じた患者さんでした。

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