突発性難聴が起こる体調

50歳代男性、3月半ばに突然左耳だけ音がハウリングして聞こえるようになったということです。以前から、時々キーンという15~30秒程度の耳鳴りはあったということでした。

耳鼻科に行くと本人は気付いていませんでしたが少し聴力が落ちていました。医者は耳閉感や耳鳴りなど聞こえ方の異常や違和感には客観的に数値で表せる聴力検査で判断します。

目眩は無かったのですが、感覚器の不調というのは不便なものですぐ治したいところですが、ステロイドは副作用も考えて選択せずに、アデホスコーワ(アデノシン三リン酸)、メコバラミン(ビタミンB12)が処方されました。

4日程で症状は消え安堵したところ、その一週間後の検査では今度は反対の右耳の聴力が微妙に落ちているのを指摘されました。聞こえが悪いという自覚症状は無かったのですが、やはり右耳も最近時々耳鳴りや違和感があったそうです。

こういった聞こえの低下の自覚はないものの小刻みな耳鳴りなどの出現が、間欠的に出現したり軽快したりしてそれが長期的に繰り返されることによって往々にして聴力の低下につながります。

「耳」は東洋医学では「腎」の症状とされるので、腎=精力、生命力、エネルギーの衰え、不足と考えます。単純に歳を取ると耳が遠くなるのはエネルギーが無くなってきたと考えると理解しやすいと思います。

この患者さんはそれと時を同じくして疲れた時などにしか出なかった期外収縮(脈がとぶ不整脈)も出現したりして、息苦しさから一気に不安になって久々に来院されました。

身体の調子が悪い時は往々にして、このような感じで元々不安定な器官や弱っている臓器などに症状が出ます。

耳の不調も期外収縮もベースには体力の低下と疲れがあり、年度末の忙しさと気ぜわしさで精神的にも不安定になって出現したのでしょう。腎の強化と肝の調整を考えました。

鍼灸治療をすると楽になるのですがやはりストレスフルな日常生活では症状になって出てしまうことが多く、現在は薬の服用はしていませんが、月一回の鍼灸治療をリセットの為にも現状維持の為にも勧めています。

参照:「ほんのちょっと当時者」 青山ゆみこ著 ミシマ社
 耳鳴りに対する考え方はこの本が解りやすく的確であると思います。

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