あまりにもスマホに依存していないか

日常生活

2年ほど前の話です。僕は当時まだガラケーだったのですが夜間待機(オンコール勤務)のストレスなどによる倦怠と肩凝りで時々治療に来る訪問看護師さんと訪問先の話をしていました。

外出先(路上)でいつでも見られる様に、江戸川区の地図をカルテのファイルの表紙に入れてあるという僕の話を聞いて、スマホに「患者さんの住所を入力すると最短ルート、距離が表示される」そうで「アナログですねー」と笑われました。

「テクノロジー自体は悪いものではない。もしあなたが、自分の人生に何を望むかを知っていればテクノロジーはそれを達成するのを助けてくれる。だが、人生で何をしたいのかわかっていなければ、代わりにテクノロジーがいとも簡単にあなたの目的を決め、あなたの人生を支配することだろう。とくに、テクノロジーが人間をますます正確に理解するようになっているので、あなたはテクノロジーに仕えてもらう代わりに、しだいにテクノロジーに仕えるようになるかもしれない。スマートフォンに目が釘付けになったまま通りを歩き回るゾンビたちを見たことがあるだろう。あなたは彼らがテクノロジーを支配していると思うだろうか?それともテクノロジーが彼らを支配しているのか?」 『 21 Lessons 』 ユヴァル・ノア・ハラリ 19章 教育~人間をハッキングする

東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授が、勉強時間の長短にかかわらずスマホ使用時間の長い子供は、学習時間にかかわらずスマホ使用時間が短い子供よりも総じて偏差値が低い(最大10)という結果が出たという本を読んだことがあります。つまりスマホに長時間接していると学力に悪影響があるということを示唆する結果です。

20世紀後半から電気製品が普及し、21世紀に入って通信技術が著しく発達し生活は格段に便利になりましたが、それをそのまま受け身のままに享受していると、いつの間にか上記のように気付かないうちに(頭を使わなくても)好みの商品が提示され、聴きたい音楽が提示され、志向に合いそうな話題が提示され、同意できる思想が提示され…AIがピックアップした心地よい選択肢の中に四六時中埋もれることになるということと関連があるのかもしれません。

これって信じていいのかと常に問題意識を持とうとする思考回路の人はいいのでしょうが、以前なら暇で一日中テレビを見ているクラスタを現代の若年青年世代に当てはめると川嶋教授の言うところのスマホ依存の層を形成しているのかもしれません。特に成長期の中学生に関しては影響を受けやすいのかもしれません。

洗濯機など電化製品の登場は多くの女性(現在では男性も含む)の重労働を軽減して剰余時間を創出しましたが、その浮いた労力と時間を有効に使う人とそうでない人がいるように同じスマホを使うにしてもその使い方によってそこから先の生活の質に大きく差異ができるのでしょう。

結局のところ与えられるモノではなく、自分の頭でどれだけ理解、判断、思考しているか主体性を持っているかということに係っているのだと思うのです。

参照 『スマホが学力を破壊する』 川嶋隆太 集英社新書

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