70歳代女性。元教員。ずっと健康そのものだったそうですが退職してからしばらくして頭痛が出現するようになりました。
頭痛が続くのは約一か月でしたが最初のそのような頭痛と二回目との間隔は数年もあったためすっかり忘れていました。
しかしその後は半年程度で再発症し、その間隔も短くなっていきました。
それからは一年の間に数回の発症になり、気づけばずっと頭痛に悩まされている様な状態になっていました。
ひどい痛みですから当然精密検査をします。
教員御用達の御茶ノ水にある総合病院でCT、MRIを撮りましたが問題ありません。
いろいろ薬を処方されますがなかなかよく効く薬が無く納得いかずセカンドオピニオンを求めて別の病院に行くも「私も同じ処方をします」と言われガッカリ。
抗うつ薬や抗てんかん薬などが処方されていました。
医師との関係も悪くなりますが、この頭痛が良くならないのは医師の見立てが悪いせいだと思い込んでしまいます。
担当医師の出身大学を検索し「いい大学出ているのにちっとも良くない」とこぼす始末。
しかし治療していくうちに、調子のいい日には友達と会いたい、友達に会わないと不安になる、友達がいっぱいいないとダメというような発言に違和感を感じるようになりました。
一人でいることが不安なのです。仲間がLINEで楽しそうだと不安だし許せないのです。まるで充実しているかのように日々をインスタグラムでアピールする若い人のようだなと。
教員時代は同僚や後輩から慕われていつも話の中心にいるような存在だったとのことでした。
しかし現在は当然ながら上下関係も無く、自己主張の強い者同士が何とかバランスして関係を保っているような状態に感じられました。
そういうことを聞いた時点でこれは違うなと治療方針を少し変更しました。
頭痛、偏頭痛というよりも自律神経の安定を治療の目的に重心を替えました。
その後も処方された抗うつ薬を服用していないのに調子が悪いと担当医師に訴えて「当然だ」と怒られたりしていました。
「こんなに具合の悪い私を励まして」とノートを周りに書かせる自分中心の考えには呆れましたが、孫はちゃんと優しい言葉を書いてくれたそうです。
その後は一進一退というか薬を飲んでも調子の悪い時にだけ鍼灸治療に来るという感じですから大方は薬物治療でコントロールできているのだと思います。
鍼灸治療ではその都度、気を整える程度の軽い刺激にしています。
いわゆる偏差値が決して低くない人においても、高齢になりしかも自分の事となると冷静に客観的に考えるどころかわがままになり手が付けられなくなることもあるという症例でした。
幸せは目の前にあるというのに。
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