そこに愛はあるんか

仕事

〈前回“評価の高い整骨院”の続き〉

なかなか改善しない50歳代男性の肩から腕、指先の痺れの治療で苦労していましたが、「肘をついた時に痺れが強くなる」という訴えにやはり胸郭出口症候群だという思いを強くしました。

以前にも胸郭出口症候群も含めて理学検査はやってはいたのですが、患者さんの訴える症状の出現も微妙なだけに陽性兆候も出ないのです。

こういうはっきりしないパタンは日々の臨床でも割とよくある事で、逆に病院では診断や対応できないようなこういった微妙な訴えを「未病を治す」東洋医学が得意とするところでもあるのでそういった患者さんも多いのです。

ところが、再びやってみた理学検査でも症状は増幅されませんでした。つまり神経を圧迫し滞らせている場所は胸郭出口(首の根元や鎖骨の下あたり)ではないかもしれないし、そうかもしれない、という状態のまま微妙に反応のある頸椎から鎖骨近辺、肩甲骨廻りを治療しました。

その何回かの治療の間にも患者さんは原因を突き止めるべく総合病院を受診していましたが、やはり原因は判らず、薬も「クリニックで出ているので出せない」と。

その整形の医師が言うには「枕を変えてみたらどうか」と。やはり原因としては頸椎(の微妙な塩梅)しかないのではと考えたようです。

そこで2万円かけて高級枕を購入したそうです。医師の忠告ですし、状態が改善する可能性があるなら安い投資です。

では結果としてどうなったかというと、発症から5カ月経過した時点で「相変わらず」ということでした。

しかし痛み止め(ロキソニン®)を飲む頻度は減っていますし、タリージェ®は飲んでいないそうです。夜勤もある、身体を使う設備点検の仕事を35年も続けてきただけに金属(=勤続)疲労の様な感じで出てきた症状なのかも知れません。

この患者さんへの鍼灸治療も結局はっきり震源地が特定できない時点から、全身治療で身体の反応の出ている部分を緩めようという方向に重心を置いて治療をしていました。そちらの方が結果的に近道だったりもするのです。

で、半年経過した先日の来院では無理をしなければ痛みは許容範囲であるということでした。やはり夜勤や狭い場所の作業など無理をすることが何より身体にダメージを与えるようです。

本人も作業姿勢や長時間の作業に気を使うようになり自分の身体を自己責任で管理する意識が高くなったようでした。

出来るだけ長い期間にわたって働かなければならない時代になってきましたが健康であれば彼のような技術があれば問題ありません。私も微力ながら出来る限り力になりたいと考えています。

高評価に騙されて高くついたサブスク整骨院ですが忘れないようにして3か月経過後、解約に行ったそうです。

治療家、治療院に限らず、お金を払って対価をもらう仕事の全てに言えることだと思いますが、その相手に他者貢献の気持ち(=愛)があるのかどうか、それを見極められるようになっていただきたいと思います。

知識、技術、経験などの差、そして個人の資質の差はありますが、治療家に関して言えば患者さんのために少しでも役に立ちたいという気持ち(=愛)さえあれば酷いことにはならないと思うのです。

また、その罠にはめられる方にも問題がないわけではありません。

多額の借金をしてまで歌舞伎町のホストクラブに行ってしまう女性を笑っている人でも実は解っていない方は多いのではなのいでしょうか。宗教をはじめ、各種民間保険、数々のSNS詐欺にしても人を見る目はとても大事なのです。

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