コロナ禍以降で現役世代の患者さんの顔ぶれもかなりの変化がありました。
医療従事者、シフトで働く交通関係者など同僚の自宅療養の影響で過労になりその後通常に戻ったように見えて継続するよく解らない不調を訴える患者さんが何人か来院しました。
また、在宅勤務など生活パタンの変化で精神的不安定など体調不良を訴える患者さんも増えました。
この数年で図らずも飲食業や運輸旅行関連業などから転職せざるを得なかった方も多くいることと思います。そしてまた戻る方も。
また、就活や今の仕事がしっくりこない、何が向いているのかわからないという方などには下記参照の本をお勧めします。
寄り道、回り道が当たり前、何ならそれこそ王道に思えてきます。実例ばかりで面白い本ですがゴッホなどの逸話は回り道の最たるものでしょうか。
レベル違いもほどがある私の話で恐縮ですが鍼灸学校に入学したのは28歳の時でした。22歳でサラリーマンになってバブル経済にはまって若かったので体調を崩すまでには至りませんでしたがさすがにこのままでは体が持たないと思いました。
これは売上げより給料より何より健康が大事だと。健康を最優先に考えようと思いました。
免許取得が31歳、そこから現在地で開業するまでに7年かかりました。
その間はクリニックに勤めて理学療法の傍ら鍼灸治療をしていたこともありました。
クリニックでの給料はあとから考えれば相当恵まれていたのですが、本当に自分のやりたいことはあまり出来なかったため2年で辞めることになりました。
故郷に戻ったり友人の飲食業を手伝ったり修行とフリーターの中間ような生活を経ての38歳での開業でした。
忙しいサラリーマンをしながら夜間部に通ったこともあって成績は全くよくありませんでしたが開業したら必然的に積極的に勉強するようになりました。
仕事になれば、切羽詰まればそういうものです。修行中の暇な時間も有効でした。
営業職は好きではありませんでしたがサラリーマン時代には営業を8年半やっていました。30年たった今でも嫌な夢はこの時の得意先の夢です。
でも今は話をするのは全く苦になりません。自分が好きでやっている仕事、話題(身体のこと、健康に関すること)ですから当然です。
治療と同時に生活のアドバイス、考え方のアドバイスなどは、そちらの改善の方が治療そのものよりも大切なのではないかという患者さんの方が多い印象です。
そういった患者さんと多く接するうちに医師やほかの治療者が気が付かない視点から患者さんの改善点を指摘できるようになり、それが患者さんにとっては新たな気付きとなっているのではないでしょうか。
ひいてはそれが患者さんのリピートや紹介へと繋がっているのだと思っています。
どんなBtoCの事業でもそうだと思いますが集客(いわゆる営業)に資金、労力を割かなくていいというのは本当にありがたいことなのです。
個人事業なので人事管理もいらず自分さえコントロールできていればいいという気軽さもあります。
この程度の当たり前の平凡な(回り道の)話なら誰にでもあるはずです。
これの千倍すごい話が100人ぐらい下記の本には列挙されています。著者もそうです。
その前に「GRIT やりぬく力」を読んでいれば頑張りすぎの弊害もより理解しやすいと思います。
若いうちから専門に特化してその道に進むのも良いかもしれませんが色々寄り道をして経験をつんでからの「この仕事なのかな」というのが却って強みになる、なっているのではないかと思っています。
歳をとっているということはさまざまな経験をしているということです。
勉強の知識だけではない、一見無駄に見える知識や経験とのハイブリットはああすればこうなるなど、予想のつかない一筋縄ではいかない複雑系の仕事には却って適しているのかもしれません。
参照 : 『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』 デイビッド・エプスタイン著 日経BP
『GRIT やりぬく力』 アンジェラ・ダックワース箸 ダイヤモンド社
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