東洋医学の「未病を治す」という考え方がなぜ大切かをもう少し具体的に説明したいと思います。
例えば日常的にもよくある「頭痛」という症状ですが同じ頭痛という症状不調を抱えていても体の状態が「気滞」「気逆」「水毒」のどこに分類されるかによって対処法が違ってきます。
「気滞」というのは気が滞りうまく回らない状態で自律神経が乱れやすく精神的にも不安定なので頭重感が出たり喉が詰まった感じや胸苦しさ不眠、手足の怠さを訴える人が多いという症状です。
「気逆」は滞った気が行き場を失って頭に上がった状態で顔面紅潮でのぼせたり動悸がしたり不安を訴えたりします。
「水毒」は水、つまり血液以外の体液の変調偏在によって起こる症状で頭重感、めまい、立ちくらみ、むくみ、乗り物酔い、下痢などの症状が出ます。
このような一次性(≒一般的な)頭痛では現代医学では筋緊張性頭痛なら痛み止め(NSAIDs)、片頭痛、薬剤使用過多頭痛ならトリプタンあたりの対応が主なところだと思います。
しかし東洋医学(漢方医学)では発症の過程が違うので心身の状態がどこに分類されるかによって対処、治療法が違ってきます。
それらを改善することで不調を改善していくわけですが、それが病気になってもおかしくない心身の状態から病気にならない状態に戻そうということなのです。
その結果クリニックの医師にはなかなか説明できない、医師側も把握しづらいという表現の難しい心身の不調も改善もしくは解消されるというわけです。
これが病気を治すのではなく未病を治すという考えの概要です。
こういう漢方の考え方は薬や外からの力で病を治すのではなく、あくまでも自分の身体の力で病気にならない心身の状態に持っていく、持っていけるということでも大きな意味があります。
東洋医学、漢方薬、鍼灸はその人のもともと持っている力を補い引き出しているのだという言い方もできます。
人間は生まれつき心や体が悪い方向に傾いた時には良い状態に戻そう、傷ができたらそれを治そうとする力があります。
自然治癒力、免疫力と呼ばれますが、体の状態をいつも適切に保とうとする能力、恒常性(ホメオスタシス)も備わっています。
これは文字通り自律神経の働きなのですが、実際何から何まで意思とは関係なくお任せ、フルオートでよい状態に保とうとし、そうしてくれているのです。
そんなの当たり前でしょうと言われれば確かにそうかもしれません。
しかし、この当たり前がどれだけ貴重で有難いことなのかに気付き、何物にも代えがたい素晴らしいこと、状態であるのだと実際に理解できるのは皮肉にも何も問題なく過ごせている健康な時ではなく、何かの原因で身体の不調に直面し苦しんでいる時なのです。
ですから何もない当たり前の普段の健康にそこそこの規律と謙虚な感謝が大切になるのです。



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