見える修繕

仕事

50歳代女性。最近肩と背中の凝り、そして目の奥の疲れた感じを訴えて来院しました。

触れてみると確かに凝りがひどいのですが、最近始まった肩こりではなくて元々たぶんずっと昔からあったと思われる首、肩凝りでありそれを頑張って支えている背中でした。

原因を探ろうと仕事内容を尋ねると事務系の仕事をしつつ、自宅で副業として衣類の修繕をやっているそううなのですが、それが忙しくなったとのことでした。

趣味の延長ですから半ば楽しく、しかも収入も増えるので頑張っていましたが手間がかかって代わりもきかず当然の結果として体の方が悲鳴を上げたのです。

元々事務仕事があり、しかも肩凝りもあったために限界が来るのが早かったのだと思います。

手芸は趣味程度だったそうですがこれが個性的な修繕方法だったため友人などに口コミで広がり、しかし一つ一つ手作業ために時間と手間がかかるのです。

「しんどいのよ」と体の状況をその依頼主の友人に訴えたところ謝罪どころか当院を紹介されたらしいのです。

裾上げや寸法直し、かけはぎなどはそれ専門のお店や取り次ぐクリーニング店が近所にあったりするので知っていたのですが何故そんなに需要があるのかわかりませんでした。

その謎が解けたのは2回目の治療の時でした。

治療の時はうつ伏せになるのですがそのズボン(デニム)のお尻の部分が繕ってあるのですが素敵なのです。

別の色味の生地と同系色や目立つ糸でパッチワークのような刺し子のような刺しゅうのような、それが「かわいい」のです。

この修理方法に呼び方などあるのかと尋ねたらヴィジブル・メンディング(visible mending)と呼ぶのだそうです。

「見える修繕」。普通はスーツやセーターのほころびや穴は見えないように直すのがかけはぎの技術なのですが、逆にもう目立つのです。

だって当てている生地も糸の色も太さも違うのですから。

でも、靴下のかかとのそれは同系色の刺繡のような違和感のないかわいい飾りのような修繕なのです。

着る物を大切にするという点では僕も部屋着はボロボロになるまで、なっても自分で適当に繕って着るのが好きなので部屋着はすべて30年ほど前に買った服ばかりです。

体形が変わらなければ中高年男性あるあるだと思います。女性もそうなのでしょうか。

部屋着は着るものにお金をかけていた昔に買った服でそのまま一生分行けると思っています。

そんな訳でこのチャーミングなヴィジブルメンディングを僕のヴィンテージというかダメージ部屋着を普段着に再昇格させるのにお願いするためにも、彼女の後頭部(目の疲れ)から首、肩と背中から腰を鍼灸治療で念入りに緩めているわけなのです。

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