隠れ酸欠ってどういう意味?

日常生活

新型コロナウィルスの流行以降4年が経過しましたが、日本人の生活はマスクなしでは過ごせなくなっています。

しかしその生活の変化に伴う数々のストレスとマスク着用の圧力は、少なからず今までの生活の過ごしやすさに比べて文字通り息苦しさを感じている人も多いのではないでしょうか。

当院の患者さんの中でも治療室に入ってきて真っ先にマスクを必ず外すのは慢性閉塞性肺疾患(COPD)の既往のある患者さんだったり、喘息持ちの患者さんだったりします。緊急事態宣言の頃でも「外していい?」とお願いされていました。

話をするわけでもなく、ほとんどうつ伏せの患者さんの背中を向いている状態ですから「どうぞ外してください」と対応していました。やはり呼吸器にトラブルを抱える人はもともと体感として微妙な息苦しさがあるので口元のちょっとした障害物でも苦痛なのだと思います。

逆に看護師の患者さんなどは当時はインナー付きのマスクをしっかりしたまま治療を受けていました。

実際にはマスクが酸素飽和度に影響することはありませんが、一連のストレスにまつわる息苦しさをはじめ、そこから倦怠感、頭痛、疲れやすい、気持ちが落ち込むなど様々な症状となって感じられることがよくあります。

『“隠れ酸欠”から体を守る横隔膜ほぐし』京谷達矢著 青春新書 という本を読みました。整体業界などでは、「O脚矯正」「肩甲骨はがし」など医療業界には存在し得ないキャッチーな表現が出てくるので、「横隔膜ほぐし」もその類でしょう。

怪しい整体の本かと思いきや、でもサブタイトルに「呼吸が深くなると免疫力は上がる」とあり、読んでみるとその方法も井本整体やその上流にある野口整体の活元運動に相通じるものでした。それを理解しやすく言い換えるとすれば“深い呼吸”と言えばわかりやすいかもしれません。

以前から言われていたことですが、現代人の不定愁訴はストレスや忙しさなど余裕のない状態が続くことによって肩が上がります。その代償として首から上(頭部)が前に出て呼吸も浅く短くなり肩や背中をはじめ身体全体も硬くなり、ひいては血液循環にも影響します。

結果的に心身ともに不調が生じる。というのが最も典型的な不定愁訴の発症機序だと思います。

その発症を自分で事前に気付きコントロールしようというのが深い呼吸であり、緊張と弛緩のバランスなのです。呼吸は健康の基本中の基本で座禅、瞑想、ヨガ、太極拳等々すべてゆっくり、深い呼吸が基本線となっています。

「調身、調息、調心」という言葉を座禅の時に僧侶から聞きましたがまさにその通りで、姿勢を正しくし、呼吸を整えることにより結果的に精神状態が整うということです。ひいては自律神経も本来あるべきいい状態に落ち着くということではないでしょうか。

このように健康、落ち着いた生活、心の安定というのは自分の意識と少しの行動で自分が考えるよりも簡便に手繰り寄せることが可能なのだと言えるのではないでしょうか。

というわけで患者さんにもこのことを地道に伝えていかなければいけないのだとこの本で再確認した次第です。

参考: 『健康生活の原理』 野口晴哉著 全生社
     『整体法 2』 井本邦昭著  三樹書房

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