症状をこじらせる人

Uncategorized

70歳代後半の女性。50歳代から腰痛や下肢症状(いわゆる坐骨神経痛)が出現していたそうです。

3年前に打撲による胸椎下部の圧迫骨折で背中も曲がり気味になり更に歩行距離が短くなってしまいました。

以前の治療はテレビで見たとのことで千葉の鍼灸院へ行ったりしていたそうです。

通えないでしょうと思うのですがテレビしか見ないという人たちは悲しいかなテレビの世界が正しく、情報源のほとんどなのです。

少し前までは整体院がいいと知り合いから聞いたということで通っていたそうです。

「良くなると言われたから」と週一回のペースで市ヶ谷駅からのタクシー代込みで8千円。半年通いましたが効果はなかったと愚痴ります。

自転車は乗れますが駅までの10分弱が歩けないのです。当院へは自転車で来ました。

60歳代~70歳過ぎまで「歩いていないとどんどん歩けなくなる」というよく言葉をそのままとらえて痛みを我慢しながら毎日ウォーキングをしていたそうです。

昔読んだグリム童話の「ひとつ覚えのハンス」というのを思い出しました。ひとつ言われたらそのことだけを考えて行動しまた失敗を重ねるという話でした。

テレビは万人に向けて言っているわけですから自分に当てはまるとは限らないのです。

見た目からの腰椎の変形は、脊柱管も同様に狭くなっていても不思議ではないでしょう。

また打撲とはいえ圧迫骨折からも骨(椎体)の強度(骨密度)が相当低下していることが示唆されます。

症状の改善は確約できないが、治療することにより放置するよりも悪化することはないだろうし、たくさんの提案もできるので先に望みがあることを説明しました。

そこから1か月週1回の治療をしましたが、やはり立位や歩行で下肢の痛みは改善していないとのこと。

そんな折、年始の予約がキャンセルになり、そこからまたひと月半後の2月中旬に予約が入って再来院しました。

年明け早々整形外科に行きMRIを撮って、医師にどうしたらいいか聞いたところ「筋力をつけろ」と言われたそうです。

そこで中高年女性専門のマシントレーニングのジムに通ったのはいいのですが3日前にマシンを両腕で引いていたら肩を痛めて夜間痛が辛いので「何とかならないか」とのことでした。

場当たり的に筋力をつけろという整形外科医の適当さにもやれやれなのですが、この患者さんがそれを聞いてそこからしっかりした知識を持った指導者や施設を選択できるはずもありません。

しょうがないと言えばそうなのかもしれませんが。

聞くと以前にも肩関節周囲炎=凍結肩(いわゆる五十肩)も何回かやっているとのこと。

散々使って痛めた80前の肩に自己判断のマシンの筋トレの負荷は無謀です。

でも腰じゃなくてまだ良かったと思いました。

10分歩けない腰椎症状、神経根症状のある人がマシンの負荷でどうなっていたかわかりません。

なにしろだんだん歩行時間が短くなるのを我慢してウォーキングを続けて重症化させていた人ですから。おまけにプロテインまで買わされていました。

再びグリム童話を思い出しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました