足底筋膜炎は年に数回経験する症例です。患者さんの話を聞くと総じて靴屋さんでは土踏まずのアーチの変化などの説明をされ、靴を買ったりインソールを作り、整形外科では痛み止めや湿布を処方され場所によってはリハビリ室で電気治療やマッサージを施されますがそれでもダメでという経過です。
ですからここに来るのは少なくとも半年以上の時間の経過と治療履歴ありのかなり難治な患者さんばかりで、こじらせてからという言い方もできると思います。
大きく分けると三つのグループに分けられ、若年層の部活等のオーバーユース、中年以降の立ち仕事や体重での負荷増加、もう一つは高齢者の骨や歩様の変化からの発症という感じです。
80歳代後半の女性の症例では整形外科で渡されたという製薬会社の作った足底筋膜炎のリーフレットを持参しましたが、痛み止め~注射でも改善せず腰痛とセットで当院に来ました。レントゲンで踵の骨増殖(骨棘)があったこともあり、手間がかかったという記憶があります。
若年層と高齢者以外の症例では半数以上はここ5年の体重増加が5㎏以上の女性でした。加えて更年期だったり、精神的ストレスはもちろんのこと、足のむくみや、肩凝り、耳鳴り、腰痛、ひざ痛などの不定愁訴を発症前後に複数抱えているような状態です。
いくら説明に説得力があっても結果(治療効果)が全てなので患者さんにもいろいろお願いしてやってもらっています。それはやはり症状に偶然はなく、出るべくしていろいろな条件が揃っての発症だからです。
でも、率直に言って女性の減量は難しいという感想です。5年で5Kgの増量(の地道な努力)はできますが1年1㎏減量の地道な努力はダメなのです。男性と女性の身体の仕組みの違いを痛切に感じます。
『14歳の夏休みに、初めて髪を染める子が多いって話を、教育カウンセラーに聞いたことがあります。それは14歳で、初めて自分と周りの人間を比較できるようになったからなんだとか。
それまではアイドルに憧れたりして、自分もいつかああいう風になるんだと思っていた女の子や男の子が、ある日、鏡を見て「違う」と気付くのが、だいたいその年齢。
違うと気付いて、どうするか。地道な努力をするのかと言ったらそうじゃない。
とりあえず髪染めちゃったり、ぐれちゃったりする。
なぜって、そうするのが簡単で早いから。
(中略)
人は大人になったからって、そういうところはちっとも変わらない。
だって「巻くだけでやせる」と言われたら、巻くし、とりあえず。
「ふくらはぎを揉めば長生きできる」と言われたら、揉むし、とりあえず。14歳のことを中二病だなんて笑えないんですよ、全然。
いくつになっても、ラクして素敵になりたい。どっかにうまい抜け道があるんじゃないかって、いつまでもジタバタしちゃう。』
「女の子が生きていくときに覚えていてほしいこと」 西原理恵子著 角川書店
体重を落としたいのに落とせない患者さんを何人も見てきましたが、同じような特徴があります。①「サーッと体重を落とせるツボありませんか?」②「そんなに食べてないと思うんですけど」③「私、水を飲んでも太るんですよ」④「テレビ通販でお腹に電気でプルプルやるのはどうでしょうか?」・・・こんな感じです。
それで健康なら何の問題もありません。BMI的には痩せ型よりは少し太めの方が長寿であるという東京都健康長寿医療センターのデータもあります。国立がん研究センターのデータに至っては男性で25~27、女性は23~25が最も死亡リスクが低いということです。男性で170cmなら78㎏、女性なら155cmで60kgって感じですから。
足底筋膜炎に話を戻すと、体重の件を別にして考えるとすると、立ち仕事の男性なども含め、患者さんにはインソール、足半(あしなか)ぞうり、五本指ソックスを勧めています。
インソールはピンキリなのですが、僕は自衛隊御用達の日本製、ハンドメイドの「ハマックス」を勧めています。靴を買う時はなるべくこのインソールを持参して靴選びをします。付属のインソールは使用しません。https://store.shopping.yahoo.co.jp/rakuraku-ymam/hamax.html
足半ぞうりは室内(自宅)用です。踵が床に付くことが肝心で、竹皮がいいという人と、安い布製でいいという人それぞれです。それに加えて五本指ソックスです。青竹踏み用の竹がある人は痛くない程度でやるのもいいでしょう。
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