病は気から・頭を動かすと耳で音がする

医療トピックス

50歳代男性、もともとは頑固な肩こりで来院し現在は不定期に来院しては身体の手入れをしている会社員。しばらく振りに来院した先日治療中に聞いた話です。

2週間ほど前に朝起きたら左耳の奥でガサガサと音がしました。耳垢かと思って綿棒を使いましたが変化がないので左を下にして耳かきで出そうと何回か試みましたがやはり変化がありません。

このやり方でいつも解決していたのですが、ここで急に心配になりました。今までこんなことを経験したことが無かったからです。

しかも頭を前後に動かす時にだけガサゴソと音がしますが左右の時は音がしない・・・しかしゆっくりリクライニングしても音がします。これは鼓膜の手前ではなくてその奥からの音かもしれないと思ってしまいました。

「頭を動かすとガサガサ音がする」で検索すると外耳に関する耳垢以外にも鼓膜の内側の中耳、さらに三半規管など内耳に関する病気の可能性も書かれていてますます気が滅入ります。

日中は仕事をしていてあまり音がしなくなったように感じたり、ふとしたうごきでやはり音がしていると自覚し一喜一憂し、そんなことを繰り返していたら左側頭部に頭痛まで感じるようになってきました。

20歳代の頃、サーフィン中に左側頭部を打撲してしばらく頭痛と眩暈が続いて頭部CTを撮ったことを思い出しました。それからも時々不意に左鼻から黄色い液体が出ていたことがあったそうです。

昔の怪我の後遺症がこの歳になって出てきたのかと暗澹たる気持ちになりました。いま一度検索しなおすと腫瘍などさらに深刻な病気の可能性があると知って寝付きも悪くなり、食欲も無くなってきました。

頭痛、不眠、食欲不振で当然抑うつ状態となります。ここまでで5日間です。6日目に会社を休みいきなり大きい病院にも行けないので地域の耳鼻科に行きました。

耳の中を見るなり「あ~、鼓膜のところに耳垢がかぶさっていますねぇ」とそれらを吸引してくれてそのガサゴソがあっさり消失。音がしていない右耳も同様な状態だったそうです。

結局のところ、心配性のネガティブな妄想で次々と不定愁訴を作り出し悪循環に陥りかけましたが敵は自分の心の中にあったという話でした。

体は本当に微妙な塩梅で各臓器、組織、器官を統括管理をしてごく普通に毎日を過ごさせてくれているのです。

「そんなことをずっと考えていたからこんな硬い背中になるんですね」と硬い背中に鍼をしながら心身一如を再認識させられたエピソードでした。

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