夜尿症と薬物治療 その2

前回の続きです。

見た目も普通の中学一年生。子供さんのほうも真面目に薬を飲んでいるだけで朝起きられないのは怠惰なわけでもありません。
むしろ繊細すぎるほど真面目な子供さんが多いです。

繊細で敏感なので刺激量を気を付けましたが初回治療の三日後、「朝起きられるようになりました、早起きして朝食も作ってくれるんです、夜も三連勝です」と喜びの電話がありました。
当然のことですが、ホントはみんないい子なんです。

どんな疾患でもそうですが特に夜尿症治療には治療意欲のある患者さんおよびその御家族の存在というのが鍵になります。
この患者さんの場合は夜尿症が治る前に、いきなり朝ちゃんと起きられるようになったことで母親のやる気スイッチが入りました。

治療した日はいいのですが、一週間もすると夜尿が再発します。
そこで母親のやる気を見込んで自宅でお灸をすることを提案しました。

私が修行していた治療院では患者さんには灸点を付けて後は自宅でお灸を続けてもらっていました。
それが当たり前だと思っていました。

家族が無償の愛でやってくれるお灸が一番いい(効く)と思っています。
野口晴哉が金儲けや宗教に自分の能力を利用されるのを嫌って最後は(子供の為の)母親だけに指導をしたというのも良く理解できます。

灸点を付けて3壮×5か所=15壮を毎晩やってもらいました。
すると朝は必ず起きられるし夜も5勝2敗。かなりいい出だしです。

母親はこれは薬は要らないとミニリンメルトを中断してしまいました。
抗利尿ホルモンは急にやめると反動が凄いのです。

その夜は半端じゃない量の夜尿をしたそうです。そういう意味で薬は怖いんです。
斬減が鉄則で240μg→120μg→1日おきという感じです。

10年近く悩んでいたのが“こんなこと”で改善したのが嬉しくて、足りなくなったお灸用の線香をネット検索して訪問看護用の電動自転車で日本橋の釜屋もぐさまで買いに行ってしまうハイテンション。


言ってくれればもぐさも灸用線香も灸点紙(熱くないシール)も原価で分けてあげているのですが。

改めて子供を思う母親の愛情、子供の身体の繊細さ、そして鍼灸の素晴らしさを感じた症例でした。

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