糖尿病はスティグマなのか

医療トピック

糖尿病は誰もがよく知る疾患です。何故なら、それはあまりにもポピュラーな疾患であるということが挙げられます。

鍼灸院経営の臨床感覚で言うと患者さんの2割程度が糖尿病(空腹時血糖120㎎/dl、HbA1c6.5%以上)かもしくは予備軍(同110ml/6.0%以上)という感じです。

尿中に、本来体に吸収されるべき大切なエネルギー源である糖分を捨ててしまう状態。これは重大なトラブルです。

それほどメジャー疾患であると同時に糖尿病というネーミングも読んで字の如く理解しやすいのですが・・・。しかし、これがダメなのだというのです。

日本糖尿病学会は糖尿病の新たな呼称として英語そのままの「ダイアベティス」を有力候補としているらしいのです。(メディカルトリビューン 2023/9/22)

病名は良くないので呼称にするのだということです。わざわざ何故こんなことになるのかというと、スティグマ、アドボカシーの問題からなのです。

スティグマというのは差別や偏見、アドボカシーは社会的に弱い立場にある人の権利を擁護する、支持するという意味なのですが、病名じゃなくて症状で表す「糖代謝異常症」「高血糖症」が適当ではないかなど。

しかし、そこじゃないでしょうという気がしています。患者さんの為に呼び方を変えてもその病気が良くなるわけではありません。

偏見はそういう人への教育、説明が足りないからですし、そういう目で見る人が一定数いることはそれでしょうがないのではないかと思います。そういう人なんですから。間違った言葉を使っている訳ではないと思うのです。

例えば1型糖尿病の生徒がクラスにいれば、隠さないのだとすれば皆にそれはこうだからと説明すれば理解してもらえるのではないでしょうか。

私たち鍼灸師は職業柄、視覚障がい者はごく当たり前に周りにいるので特別に気を使うというのもありません。

そういう意味で、障害者という言葉は害が障(さわ)る者という意味で障碍者などと置き換えられたりしていますが、鍼灸師マッサージ師の現場では当然ながら全く偏見が無いどころか普通に、仕事や生活の中に存在しています。

移動時は近くにいる仲間がガイドヘルパー役です。飲み会なら「手前の角皿はマグロのお刺身で、右の小鉢は煮物ですよ」とか、「これ熱々だから火傷するから気をつけて」といった感じです。

しかしそんなことは誰でもそうする事だと思います。

「ハンディキャップ」はありますが「障害」とは思っていないという感じでしょうか。

しかしこれまた「ハンディキャップ」も駄目だという意見もあるのです。「ハンディキャップ」じゃなくて「ディスアビリティ」だと。

dis(無)+ability(能力)のほうがヒドいじゃないかとも思うのですが、言葉狩り的なことを指摘する人は何かとケチを付けます。

結局のところ、そこに思いやり、愛さえあれば糖尿病でも高血糖症でもダイビティーズでも何て事ないと思うのですが。

愛のない高利貸しのCMではありませんが、「そこに愛はあるんか?」ということです。

参照:『消えそうで消えないペン 1型糖尿病と共に生き、投げ切ったからこそ伝えたいこと』 岩田稔 ベースボールマガジン社

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