WHO(世界保健機関)傘下のIARC(国際がん研究機関)が人工甘味料のアスパルテームに発がん性がある可能性を発表したことがありました。
摂取量で換算すると体重60~70kgで500mlの炭酸飲料にして一日10本以下なら大丈夫とのことですが、発がん性と言われればその十分の一の量でも嫌なものでしょう。
アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどの人工甘味料に関しては様々な問題が指摘され、特に腸内細菌叢に悪影響を及ぼすということはかなり以前から言われていました。
また最近は、その腸への影響とは別に実際糖類は含まれていないのですが、にもかかわらずインスリンが分泌されているのではということも言われています。
どういうことかと云うと、ゼロカロリーなのですが砂糖の何十倍も甘いのでそれに騙されるというのが正確か判りませんが、体が反応してインスリンを分泌してしまうというのです。
そうすると当然、血糖値が下がるので空腹感を感じて食べてしまうという推論のようです。
僕は幸いにもあの人工甘味料特有の味がダメだったので、お酒を飲んでいた頃は人工甘味料の入っていないチューハイを選んで買っていました。
しかし現在では多くの食品にカロリーや糖分を抑えるために微妙に使用され、除外するのが難しくなってきています。
北里大学の山田悟先生(糖尿病)は、いろいろ問題が指摘されているが少なくとも糖尿病患者の糖質を制限するという意味では意味があると言えるだろうということを書いていました。
逆に言うと血糖値に異常のない健常者の場合はお勧めできないという意味で理解しました。
結局、人工甘味料を使った飲料を摂取する人は血糖値が上がらないからいくら飲んでもいいだろうという免罪符とともに甘い飲料を飲み、ひいてはそれによって惹起される食欲に抑制が効かなくなり結果的に不幸のドミノと言われる肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病、脳梗塞など慢性疾患が次々に発症してしまうという将来が予測されます。
よく太った人がゼロカロリーの炭酸飲料の大きいペットボトルをカートに入れているのをスーパーで見かけたことがあるでしょう。結局のところ全く“ダイエットコーラ”ではないのです。
ケアマネジャーの紹介で糖尿病の患者さんの訪問治療をしていたことがありますが、ゼロカロリーのコーラを箱買いして積んでありました。
この人はストレスフルな仕事で缶コーヒーを毎日何缶も飲んでいたそうです。甘味を摂取し続けてきた人は、この甘さの快楽を断ち切ることは並大抵ではありません。
ましてや糖質ゼロ、ゼロカロリーと言われればためらう理由もないでしょう。
今回の件で、WHO栄養食品安全担当ディレクターのフランチェスコ・ブランカム氏がばっさりと本質をついています。
『甘味料入りと砂糖入りのどちらのコーラを飲むか決断を迫られているなら、私は第3の選択肢を検討するべきだと思う。それは水を飲むことだ』
水やお茶を飲む習慣をつけてしまえばなんてことはありません。しかし甘い飲み物を飲む習慣がついてしまうとそれが当然になり中毒状態になってしまうのです。
それがゼロカロリーの金科玉条とともに飲み続ける方の体には長期的には悪影響であるということです。
負荷の強い運動をした後なら、暑い夏に限ってたまになら砂糖の入った炭酸飲料でも構いません。むしろその方が考え方としては潔いでしょう。
500mlあたり60g(角砂糖18個分)の砂糖が溶け込んでいますが、たまになら・・・。
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