検査では判らない不調

日常生活

鍼灸治療がその独自性、専門性を独占的に発揮できる最も得意な領域が「よくわからないが不調」「なんだか調子悪いんですけど」という掴みどころがないような愁訴に対しての対応や治療ではないかと考えています。

一般的に、はっきりした不調があるとクリニックを訪れると思います。しかし、そこでの対応はごく基本的な対応です。

先日の患者さん(男性50歳代)の例でいうと風邪の引き始めのような感覚、寒熱往来が続いているという訴えであれば体温測定やのどの状態を見たり風邪の徴候を見るのですが、どちらも無いとなると様子見となります。

しかし本人はそれがずっと続いていて心身ともに気持ち悪いという状態らしいのです。会社で自分一人だけが寒いという状態らしいのです。

両方の上腕の筋肉痛、腰背部痛もありました。血液検査などでは何も出ず、納得いかず大学病院まで行きましたが診断名は線維筋痛症ということだったそうです。

抗うつ薬、抗けいれん薬や痛み止めが処方されましたがこの診断には違和感がありました。仕方なくつけられたすっきりしない診断名です。

本人もしばらく薬を服用しましたが当然強い薬なので「ボーっとしてくる」など副作用が強く抗うつ薬などはやめてしまいました。

来院時はプレガバリンと睡眠薬だけを服用していましたがやはりいつも風邪気味なのが不満なようでした。

腰痛も依然としてある様子でしたが仕事も趣味のスポーツも人一倍追い込んでやっている人でした。何事も半端にできないのです。

話を聞くとやはりいわゆる「繊細さん」で、HSP(Highly Sensitive Person)とも言われたりしますが何しろ“細かい”のです。

これは同じカードの裏表のようなものでいい意味でも悪い意味でも繊細なので、後者でいうとその人それぞれの細かすぎる主張がほかの人に理解してもらえなかったり、自分に対しても他人に対しても些細なところが許容できなかったりするのです。

こと自分の身体に関することになると自分のことだけに尚更納得できないというかもどかしく感じられるのかもしれません。

そして精神的に不安定になり悪循環に陥りやすいのです。

しかし身体は考えること、行動すること以外のすべては自律神経によってコントロールされています。

ですからそのよくわからない寒さについても例えばオートエアコンが誤作動を起こすが如く自身への過度なストレス、過度な反応の結果など何らかのサインなのかもしれません。

私ができることはあちこちの緊張そして自律神経、特に交感神経の興奮を抑える全身的な鍼と灸の治療だけです。

それとともに、何でもきっちりやろうとするとそれは疲れますよ、何か気にかかることがあっても一つ一つに反応するとそれも疲れてしまうので細かいことにできるだけ反応しない、可能な限りスルーする練習をしてくださいとアドバイスしました。

趣味のスポーツにも手を抜けないのはストレスの発散のような側面があるので規制はしませんでしたが、それはそれでそこにアイデンティティを集中集約させてしまうのはまた仕事以外でもゆとりがなくなります。

そこで全てにひと呼吸置くような余白を残して日常を過ごしてくださいとお願いして治療を終わりました。

全てに亢進状態の前のめりのメンタルをフラットにするきっかけにしたかったのです。

思うようにならない自律神経を自らコントロールしようと思うと痛い目にあいます。

思うようにならないのではなく「勝手に、自動で整えてくれるのだ ありがとうございます」位の感覚でいるほうがいいのではないでしょうか。

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