介護ヘルパーをやりつつ主婦と習い事の送り迎えなど孫の面倒も見るという70歳代女性。3年ほど前の60歳代から腰痛があったのですが総合病院の整形外科で薬をもらっていたから治るものだと思っていました。
症状が出た時にのみロキソニンを服用。「お医者さんでもらった薬を飲んでいるから大丈夫」だと考えていましたが症状は進行していきます。
一年ほど前から痛い方のすね、足指に痺れが出てきて「それはダメよ」とご近所仲間に紹介されて来院しました。
風邪などの頭痛や予防接種の副反応など通り過ぎる一時的な症状に対しての痛み止めは有り難く当然の選択ですが、慢性症状に「また痛み止めと湿布出しときますね」では借金を利息分だけ返しているようなものなのです。
表面的な症状には必ず原因があってそれに対する対処、予後の予測、それに目を向けることの大切さをこの患者さんの担当医師は教えてくれなかったのです。
しかし、それはもともと薬を出すという対応しか考えていないのかもしれませんし、それこそが忙しい毎日の業務で必要最低限の対応だと考えているのかもしれません。
実際、リハビリ施設があるクリニックもありますがリハビリという名の客寄せマッサージだったり、運動療法単独での効果の判断も難しいと思います。親身になってくれるPT(理学療法士)に巡り合うのも大変です(点数が決まっているので彼らの給料も上がりにくい)。
そもそも加齢と生活習慣から出てくる症状ですから、日常生活習慣の改善と腰下肢へのストレス、ひいては身体全体へのストレスを考えて身体の使い方を改善し、そして治療しなくてはいけません。
週一回の治療で2カ月後には下肢症状が気にならなくなりましたがそれが改善されると来院しなくなり、また数か月~半年後にすねの違和感、痺れが出てきてまた来院するというパタンを何回か繰り返しています。
調子の悪くない時も治療する(未病治)という東洋医学的な考え方をなかなか理解、実践できませんがそれはそれぞれの時間や金銭的な都合、考え方もありますし患者さんが決めること。
ですから本当につらい時だけしか来ないというタイプの患者さんも少なくないというのも事実です。この場合もその患者さん毎にこちらができる限りの対処をしています。
しかし、やはり身体に余裕のない状態というのは歳を重ねれば重ねるほどトラブルが表面に出やすくまた治りにくくなっていきます。
願わくは治療期間が長くならないように早めの対処を、そしてこじれてしまったら戻り道もそれなりの時間がかかります。特に痺れなど神経の症状に関しては一度なってしまったら完全に治るというのが厳しい場合も多いのです。
いくら治療をしても時を逸してしまうと戻りきれない場合もあるのです。そのあたりは十分理解したうえで自分の身体の声に耳を傾けてもらいたいと思います。
自身の身体の声を聴けるのは自分以外にはいないのですから。
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