鼠径ヘルニアは日帰り手術 その1

医療トピック

コラテラル・ダメージ(Collateral Damage)という言葉がよくメディカルサイトなどで見られるようになりました。翻訳すると「巻き添え被害」と出てきます。軍事行動における意図しない民間人への被害などで使われるようですが、ここではコロナ禍以降の医療現場での意図しない影響、被害ということです。

東京の医療コンサル会社が新型コロナウィルス流行当時の他疾患への影響を詳細に分析していました。(日経メディカルより)

予定入院症例増減率(’20.2月~’21.2月、442病院のデータ)を見ると入院症例数トップの白内障、3位の狭心症(うち60%が心臓カテーテル検査)、4位の大腸良性疾患(90%が大腸内視鏡のポリープ切除術)などは軒並み半減です。

他は2位(肺)、5位(胃)以降は各臓器の悪性腫瘍が続き、それに関してはさすがに後回しにはできませんがそれでも約一割程度の低下です。

その予定入院症例数の15位が鼠径ヘルニアでした。中年以降の男性によく起こるいわゆる脱腸ですが、これも緊急を要さないため去年の第一波では25%程度のダウンで特に5月は減少率50%を超えていました。

しかし、鼠径ヘルニアはコロナ禍でもコラテラルダメージを避けることができます。それは入院せずに日帰り手術を受ければいいのです。何しろ実質半日で済ませることができることが助かります。これは大腸内視鏡にも言えることですが。

6年前の話です。「鼠径ヘルニアの手術で5日間の入院、今日退院なのだが背中から腰がバッキバキなので予約取れますか」と入院先の病院から電話がきました。仕事が忙しくなると肩や背中が辛くなり来院する40歳代男性です。

内視鏡の傷が痛くてあまり動けなかったとの事。大変でしたねとその時は治療をしたのですが、その2年半後の3年前の暮れに、今度は僕が鼠径ヘルニアになってしまいました。

何か違和感があって下腹部に手を当ててみると嫌な感じ。下着を下げてみると左下腹がこんもりとソ-セージを鼠径部に埋め込んだような感じでした。「やってもうた」と。

これは手術でしか治りませんので、すぐネットで検索し日帰りでできるクリニック、しかもできるだけ近いところを探し診察のネット予約をしました。診察まで10日くらいありましたが特に力を入れることもないので強い違和感はありましたが痛みというほどではありませんでした。

10日後、視診、触診で「これは鼠径ヘルニアですね」と診察され、血液検査、肺活量検査と10分ほどの動画を見た後、手術の日を決めて終了。

役所で書類をもらっておくと高額医療費で戻ってくる分をあらかじめ負担しなくてもいいとのこと。これで当日に用意する金額が3割負担だと13万円が8万円になります。その日のうちに区役所事務所に行き書類をもらいました。

手術の日まで三週間ほどあったと思うのですが、その間に2年半前に鼠径ヘルニアの手術をした前述の患者さんが治療に来ました。(そういえばこの患者さん以前鼠径ヘルニアの手術してたな)と思い出し、何気なく「その後、ヘルニアは大丈夫ですか」と聞いたところ・・。

ちょうど手術から2年経過した辺りでまた同じ部位でヘルニアが再発してしまい、もう手術した総合病院には行かずに日帰りのクリニックでやり直してもらったとのこと。医師が言うには中に入れているメッシュ繊維がくしゃくしゃになっていたとのことです。

場所を聞いたらなんと僕が手術する予定のクリニックでした。2年前の手術の時に「2%に再発する」と言われたのを覚えていたそうですが、それを鼠径ヘルニア専門クリニックの医師に話すと「そんなこと有り得ない、どこから持ってきたデータだ」と言われたそうです。

入院して手術する場合は通常1泊2日から3泊4日程度らしいのですが、鼠径ヘルニア専門の医師がしかも日帰りでやってもらえるならそれに越したことはありません。

その話を患者さんから聞いて5日後に今度は僕が手術するわけです。(つづく)

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