後頭部痛と眼底出血

日常生活

頭痛を訴える患者さんはとても多いのですが、主訴が頭痛で来院という人はそう多くはありません。

肩凝りや背中の痛み、全身の倦怠感、不眠、腰痛、それこそありとあらゆる愁訴とセットで訴えられるのが頭痛です。

頭の中はもちろんのこと頚部回りでも血管と感覚神経が特に近接して走行している為、体調の変化やホルモンバランス、気圧の高低などちょっとした具合で症状が出やすいのです。

それに加えて仕事や家事、人間関係など様々なストレスにより身体の不調のひとつとして頭痛があります。

そのなかでも、目の症状とあわせて同時期に感じていた後頭部の痛みとその再発予防対策として来院した患者さんの症例です。

30代前半の男性で既往、持病はありません。ただ仕事が忙しく、しかしまた成果も上がるのでついつい頑張っていましたが視野の暗点に気付き眼科を受診したところ眼底出血していることがわかりました。

鍼灸治療に来る方の特徴に身体の不調にすぐ気が付く、センサーや感覚が敏感ということが挙げられます。

微妙な眼底出血の場合だと両眼で見えたものを脳で補正する機能があるため気付かない人も多いのです。

糖尿病が眼底出血を引き起こすことは周知のとおりですが糖尿病はもとより高血圧症など特に持病のない若年層でも特発的に出血することがあるようです。

また眼底出血に限らず、中心性漿液性脈絡網膜症といって網膜の外側の脈絡膜に水がたまって網膜を押し上げてやはり焦点の近くが歪んだり見えにくくなるという疾患もあります。

これは40代後半の男性で経験したことがあります。この患者さんは工務店勤務でストレスフルな人でした。共通点は働き盛りの男性ゆえに忙しくストレスの多い仕事内容ということでした。

アドナ(対血管薬)、カルナクリン(循環障害の改善薬)の服用などで症状は改善していたのですが仕事は続いていくわけで、後頭部痛がまた出現した折に、同じ随伴症があったのを覚えていたことから再び脈絡膜症の発症は避けたいと奥様が来院していた当院に治療に来たのでした。

こういった頭痛はざっくり後頭痛と感じて表現される患者さんも多いのですが、一般的には後頭神経痛と呼ばれていて首の後ろから出ている大後頭神経(もしくは小後頭神経)の神経痛なのです。

直接、後頭部の痛みと眼底の症状に因果関係があるのかどうかは判りませんが、身体全体で考えてみれば何らかの症状が出る強い負荷、つまり無理がかかっていたことには間違いありません。

鍼灸治療で時々出現する後頭部痛には対処できていたのですが、その症状だけなら自己管理もできるので青竹による竹枕運動を勧めました。

竹枕の運動で日々就寝前のメンテナンスが可能になり眼症状の再発も無くなり、忘れた頃に治療に来る程度の健康状態に改善しました。

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