一生できる親孝行とは

仕事

「親孝行」と何気なく使いますが、これって何なのでしょうか。

スーパー大辞林3.0では「親を大切にすること(さま)。そのような人をもいう」とあります。

「親孝行したいときには親はなし」ということわざもありますが「親を大切にする」とはどういうことかと真剣に考えるとこれまたわからなくなります。

「孝」をひくと「両親を敬い子としての道を尽くすこと。孝行。」とあります。

じゃあその「子としての道」とは、と言われるとこれまた難しいハナシです。

しかし、中国十三経の「孝経」までさかのぼるとその答えが一文であらわされています。

「身体髪膚(はっぷ)之を父母に受く、敢えて毀傷(きしょう)せざるは孝の始めなり」

これに尽きるのではないでしょうか。読んで字の如くです。

父さん母さんからもらったこの身体をわざわざ傷めることなく大切にして生活することが親孝行の基本だよと。

日々の治療で、特に訪問治療の患者さんの中にはあちこちの体調の悪いことを嘆き「もう早く死んでしまいたいわ」とこぼす人も少なからずいます。

そんな時には「もらった体を大切にしてここまで生きて来たのも親孝行、御先祖様孝行なんじゃないですかね」と大先輩に生意気にも言ったりしてもいます。

痛んだ患者さんを励ますでもなく、持ち上げるでもなくただ寄り添う治療しかできませんが。

そんな年上の患者さんに解ったようなことを言っていた僕ですが。

数年前、訪問治療途中の荒川土手で草地をショートカットしようとしてスピードを出したまま見えない大きな石にぶつかって大転倒。

鎖骨と肋骨3本を折ってしまいました。100%不注意です。

3日間の入院のあと、20日間治療室を閉めて安静療養をしました。

予約されていた患者さんにキャンセルの電話をかけたのですが、立場が変わっていつも慰め励ましていた患者さんから「お大事にしてください」と優しい言葉。

申し訳ないやら情けないやら、そして痛い・・・。

健康に生み育ててくれた親にも大変申し訳ないし、仕事でも多方面に迷惑をかけ、個人事業主の為にいきなり収入もゼロになりすっかり凹んでしまいました。

しかし、車がいる一般道ではなく、また人に迷惑をかけなかったことは不幸中の幸いだと思っています。何よりもまた治療が続けられる身体でいられたのはとても有難いことです。

親からもらった大切な体をこれ以上は(?)毀損しないよう心して親孝行の道を尽くしつつ、さらに治療家として精進したいと思っています。

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